トップページ > 記事閲覧 
「猿の惑星:創成紀(ジェネシス)」
投稿日 : 2012/07/30 16:29
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:ルパート・ワイアット
製作:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク
製作総指揮:トーマス・M・ハメル
脚本:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
撮影:アンドリュー・レスニー
編集:コンラッド・バフ、マーク・ゴールドブラット
音楽:パトリック・ドイル

<出演>
ジェームズ・フランコ/フリーダ・ピント/ジョン・リスゴー/ブライアン・コックス/トム・フェルトン/アンディ・サーキス/デヴィッド・オイェロウォ/タイラー・ラビーン/ジェイミー・ハリス/デヴィッド・ヒューレット/タイ・オルソン/マディソン・ベル/マケンナ・ジョイ/カリン・コノヴァル/テリー・ノタリー/リチャード・ライディングス、他

2011年 FOX
記事編集 編集
Re: 「猿の惑星:創成紀(ジェネシス)」
投稿日 : 2012/07/30 16:31
投稿者 久保田r
参照先
 SF映画の金字塔「猿の惑星」へと繋がる人類崩壊の起源を描いた作品。「猿の惑星」は、遥か未来の物語となっており、宇宙の旅を終えた4人の宇宙飛行士が不時着した惑星は猿が人間を支配していた。この惑星の猿は知能が優れており、対する人間の知能は低く言葉が喋れない。捕らえられた宇宙飛行士のテイラーは言葉を話すことができたため、科学者のジーラとコーネリアスと親しくなり、彼らの協力を得て一緒に捕らえられた一人の女性ノヴァと共にこの惑星の猿たちが恐れて近づかない場所へと逃れる。だが、その”立入り禁止区域”でテイラーが目にしたものは、母星の変わり果てた姿であった…という内容。

 当作品「猿の惑星:創成期(ジェネシス)」の物語は、アルツハイマーの治療薬を開発していた科学者のウィルは、ALZ-112という新薬を投与したチンパンジーの知能が発達したことを発表し、臨床実験の許可を得ようとするが、承認を得る場でチンパンジーが暴れ出したためそのチンパンジーは射殺されてしまう。チンパンジーは妊娠しており、子どもの命だけは取り留めた。ウィルは家へと連れて帰り、アルツハイマーの父と暮らしながら育てた。シーザーと名付けられたチンパンジーの子は、優秀な知能を持っており、ウィルと手話で会話をしていた。ある日、シーザーは、隣人と揉めているウィルの父を助けようとして隣人に怪我をさせてしまう。その事件が原因で、シーザーは保護施設に預けられてしまう。施設の檻の中で手酷い待遇を受け続けているうちにシーザーの心はしだいに変化してゆく。迎えに来たウィルを拒否したシーザーは、思いもよらぬ行動を起こす。

 映像を見ているとCGで動く猿の姿があまりにも人間離れならぬ”猿離れ”しているため、よく描き込まれたアニメーションのようにも思える作品であったが、物語が伝えようとしている事柄や登場人物の設定やシーンの展開などが「猿の惑星」を彷彿とさせる丁寧な描写で綴られていたため、しっかりと「猿の惑星」に敬意を払っていると感じられたことが好感触な作品だった。

 シーザーの優れた知能を示す表現として、シーザーの目が常に知性の輝きを放っていたのが印象的だった。ウィルの家で大切に穏やかに育てられていた頃は、アルツハイマーの進行するウィルの父をそっとサポートする優しさも持ち合わせており、それだけに知的で優しいシーザーが人間不信に陥る様を見るのは、胸が締め付けられるほどの切なさが込み上げた。この心の痛みを伴う切なさは「猿の惑星」とも共通しており、檻に入れられる対象が人間であるか猿であるかの違いで、両作品の伝えようとしている悲しみは共通していると感じた。この悲しみの根本は人間のエゴ。このことから端を発し人類崩壊へと歩み始める。そして、まだ人間が健在だった頃に地球を発った宇宙船の乗組員のテイラーがある惑星に不時着する…。

 シーザー率いる大勢の猿たちと人間たちとの戦いは、作品の伝えんとするテーマと照らし合わせるとここまで派手に描写する必要があったのかどうか私的には微妙なところ。何もかも破壊し尽くそうとするほどの衝動がシーザーにあったとも思えず、長々と人間 vs 猿の戦いを見るのは正直心苦しかった。しかし、このように戦いが大きくなっていくのも人間のエゴの表現なのかも知れない。

 台詞は少なめ。シーザーの表情と行動から次のシーンを読み取るという五感に訴える作品。人間の危うさから生まれる切なさが全体に流れている。
記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -