＜スタッフ＞
監督：ブラッド・バード
製作：トム・クルーズ、J・J・エイブラムス、ブライアン・バーグ
製作総指揮：ジェフリー・チャーノフ、デヴィッド・エリソン、ポール・シュウェイク、デイナ・ゴールドバーグ
原作：ブルース・ゲラー
脚本：ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック
撮影：ロバート・エルスウィット
音楽：マイケル・ジアッキノ

＜出演＞
トム・クルーズ／ジェレミー・レナー／サイモン・ペッグ／ポーラ・パットン／ミカエル・ニクヴィスト／ウラジミール・マシコフ／ジョシュ・ホロウェイ／アニル・カプール／レア・セドゥー／ミラジ・グルビッチ／サムリ・エーデルマン／トム・ウィルキンソン／ヴィング・レイムス／ミシェル・モナハン、他

2011年　パラマウント

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　主演のトム・クルーズが製作も手掛けている「ミッション：インポッシブル」シリーズの第4弾。毎作高い場所でのアクションが見どころとなっており、今作ではドバイにある超高層ビル”ブルジュ・ハリファ”での高度アクションに勇敢に挑んでいる。

　モスクワの刑務所に収監されていたイーサン・ハントは、IMFのチームの仕掛けに乗じてある男を一人連れて脱獄する。イーサンは、新たなチームメンバーと共に核テロ阻止の任務に就き、コードを入手するためにロシアのクレムリン内部へと潜入する。だが、一足遅くコードは既に何者かに盗まれており、直後に発生した爆発に巻き込まれ、イーサンは爆発テロの容疑者にされてしまう。イーサンは、IMF長官から「ゴースト・プロトコル」が発令されたことを知り、乗っていた車が襲撃され、運転手と長官が死亡する。イーサンは、チームメンバーと共に行動を開始する。

　冒頭から3分間以上は、台詞無し。緊張感漂うシーンを映すカメラワークの連続によりストーリーの外堀を描写しつつ、徐々に一人の人物に絞り込んで行きながら、しばらくは顔は映さず、体の動きのみ。そしてやっと真打ち登場とばかりに顔は映るものの声はまだ。次から次へと襲い来る囚人たちをバッタバッタと倒して強靭な強さを見せつけてながら塀の向うへと。そしてやっとその頃になっていつものイーサン・ハントの声と表情を見ることが出来るという、ギリギリまで焦らしまくりのさすがの存在感の冒頭となっている。

　要所要所でシリーズとしてのツボを押さえながら、前作よりもスケールアップしたアクションと爆発シーンでスリリング且つ派手に決めているのが今作の特徴。アクションに次ぐアクションは本当に派手だし、爆発シーンは大小のめりはりがよく組み合わさっているおかげで思っているよりも大きい爆発は少ないのかも知れないが、いつも何かが派手に壊れているイメージがストーリーに効果的に織り込まれている。世界を股にかけ、絶対に失敗のできないミッションに果敢に挑む4人のチームメンバーの命からがらな体当たりアクションが実に爽快でかっこいい作品となっている。

　今作を見て感じたことは、全体を通して巧みに小技が効いていること。作品のイメージのかっこよさは大前提としてあり、その脇で小さな笑いの技がちりばめられている。キャラクターの性格によるボケであったり、会話のズレであったり、ふとした小さな演出であったり。そういったシリアスな緊張をほぐす小さな笑いを随所に挟みながら、ストーリーは刻々と深刻さを増して行き、次に待ち構えているスリリングなシーンへと繋ぐ小技の効いたブリッジ的なシーンが実によい働きをし、一見ふっと肩の力の抜けるシーンでも、その全てが必要なシーンとして繋がっているので、なかなかに気の抜けない作りとなっている。終始息を詰めて見る作品ではないけれども、余分さがないため気がつくとじっと集中して観ているといった具合い。

　今作のもう一つの特徴は、登場人物間の絆。チームのメンバーがそれぞれに心に悲しみを抱えており、それらがイーサン・ハントと直接的にも間接的にも関わりを持っているため、イーサンを中心としたチーム内独自の絆が描かれてあって良かった。トム・クルーズ演ずるイーサン・ハントが今まで以上に人間味が増しているように感じられたのも絆を描く点で良かった。これは、主役を演じ続けているトム・クルーズ自身の人生の変化に伴うものかも知れない。チームの紅一点を演じたポーラ・パットンが、内に秘めた情熱を表現するしなやかな美しさがあって良かった。女性暗殺者を演じたレア・セドゥーが、そうは見えないクールな可愛さでちょっとした驚き。ほんの一瞬垣間見える少女っぽい表情が相手を油断させる手かと。IMF分析官を演じたジェレミー・レナーが、まさかの大活躍。人格に深みのあるキャラクターを演じており、頼れる人物となっていて良かった。

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