「イン・ザ・ヒーロー」
投稿日 | : 2015/07/30(Thu) 16:16 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
<スタッフ>
監督:武正晴
アクション監督:柴原孝典
エグゼクティブプロデューサー:李鳳宇
プロデューサー:中林千賀子、三宅はるえ
脚本:水野敬也、李鳳宇
撮影:木村信也
特殊メイク:江川悦子
美術:中澤克巳
編集:細野優理子
音楽:イ・ドンジュン
VFXスーパーバイザー:美濃一彦
<出演>
唐沢寿明/福士蒼汰/黒谷友香/寺島進/草野イニ/日向丈/小出恵介/及川光博/杉咲花/イ・ジュニク/加藤雅也/松方弘樹/和久井映見/木下ほうか、他
2014年 東映
Re: 「イン・ザ・ヒーロー」
投稿日 | : 2015/07/30(Thu) 16:17 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
特撮作品などでスーツの中に入ってアクションをこなす俳優にスポットを当てた作品。主演は、実際に若い頃にスーツアクターの経験をした唐沢寿明さん。共演には「仮面ライダーフォーゼ」で主役を演じた福士蒼汰さん。監督は、「パッチギ!」「カフェ代官山」の武正晴さん。
ブルース・リーを崇拝し長年特撮作品でスーツアクターとしてヒーローを演じてきた本城渉は、”いつかブルース・リーのように顔出しで出演して誰かのヒーローになりたい”という夢を追い続けて日々アクションの訓練を続けていた。ある日、顔出し出演のチャンスが巡って来るが、売出中の若手俳優の一ノ瀬リョウに役を奪われてしまう。一ノ瀬リョウはハリウッド作品「ラストブレイド」のオーディションを受けており、アクションを学ぶために役に就いたのだが、裏方のスタッフやスーツアクターをバカにしており一向に歩み寄ろうとしなかった。そんなある日、「ラストブレイド」の日本人プロデューサーが撮影現場を訪れ事態は一変する。
主演が唐沢寿明さんというだけで興味を持ち、「仮面ライダーフォーゼ」の福士蒼汰さんが出演ということでワクワクした気持ちで見た作品。冒頭で寺島進さんがピンク役を演じていることでコメディタッチな楽しい展開で進むのかと思いきや、福士蒼汰さん演じる一ノ瀬リョウが登場した辺りから徐々にお気楽なばかりではいられない展開へと。アクション俳優ならではのコンプレックスや葛藤、内に抱えている思いといったものがストーリーの中で描かれて行き、そこへ一ノ瀬リョウの境遇とが絡み合ってすったもんだを経て事態が好転したところでクライマックスへという展開となっている。
終盤のアクションは最大の見せ場。これでもか、これでもかという怒濤のアクションを満喫できる。正直、見ている方が息切れするくらいの長丁場なシーンとなっており、下手をすると集中力が途切れそうな気がするほどなのだが、場と演出を少しずつ変えて見せているため不思議と飽きが来ない。アクションのスピード感のメリハリが巧みに効いた最大の見せ場となっている。
スーツアクターの憂鬱が上手く表現されていたように思う。だからと言って暗い雰囲気にはならず、この先に希望がある筈という明るさが全編を通して感じられたのは、偏に主役を演じた唐沢寿明さんの持ち合わせている雰囲気のおかげかと。面倒見のいいリーダーでありながら自身の夢をも追うという現実と夢との両方を背負う主人公をヒーローよろしくバッチリと表現されていた。
一ノ瀬リョウを演じた福士蒼汰さんの若者らしい不遜さと仏頂面が格好いい。いい子を演じている表情もかわいいと思うが、仏頂面が格好いいというのは持ち味かも知れない。スーツアクター役を演じた黒谷友香さんがなかなかの迫力。別れた妻を演じた和久井映見さんの雰囲気が素敵。プロデューサー役を演じた加藤雅也さんはハマり過ぎでもっと出番を見たかったほど。他にもいい味を出している役者がたくさん。エンドロールもおすすめ。
追記。
作中で流れる吉川晃司さんの歌が印象的。シーンの描写と主人公の心情とを切なくも格好良く演出している。
この作品を見て、特撮作品はスーツアクターにどれだけ無茶をさせてるんだ…と感じた。しかし、その要望に応えるスーツアクターは格好いいし、日々訓練している姿勢も格好いい。
ところで、スタンリー・チャン監督。ラストの台詞は本音?(笑)