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「イグアナの娘」  萩尾望都
投稿日 : 2007/09/03 15:36
投稿者 久保田r
参照先
1994年7月20日 (株)小学館 PFコミックス

<収録作品>
「イグアナの娘」
「カタルシス」
「午後の日射し」
「学校へ行くクスリ」
「友人K」

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Re: 「イグアナの娘」  萩尾望都
投稿日 : 2007/09/03 15:36
投稿者 久保田r
参照先
 このコミックスの目玉は、テレビドラマにもなった「イグアナの娘」。産んだ子がイグアナに見え、どうしても娘に対して愛情を持てない母親と、そんな母親に育てられ「母親」という存在を苦手に思うようになった娘の葛藤物語。主人公の姿をイグアナにしたことで、複雑な心理状態を明確な表現で読むことができる。

 この「イグアナの娘」は短編なのだが、何度も読み返しているうちに奥の深いストーリーであることに気付く。娘と母親は、誰がどう見てもそっくりな親子で、ハタから見る分には仲が良さそうに見えるのだが、そっくりであるばかりに女性の心理は複雑。自分の産んだ娘に対して強いイメージを持つ母親は、自分そっくりな娘をどこか許せないでいる。その複雑な心理が、イグアナという姿を借りてシュールに描かれている。

 その他の作品も、多感な年齢の息子と娘が核となっている家族もののストーリーとなっていて、凝り固まった価値観を押し付ける親とそれに反抗する息子の話「カタルシス」や、現代的な娘と自分を比較する母親の話「午後の日射し」や、ある日自分以外の人間の顔が違うものに見え始める多感な少年の話「学校へ行くクスリ」など、家族間と他人の揺れ動く複雑な人間関係が描かれている。

 どの作品も、タイトルから得る表面的なインパクトよりも深いストーリーとなっている。特に表題作の「イグアナの娘」は、愛したくても愛せない娘の葛藤をおとぎ話風の物語を織り交ぜて読みやすくまとめている。
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