2004年4月25日　(株)小学館　てんとう虫コミックススペシャル

　タイトル通り「文房具」が主役のコメディ漫画。持ち主は、小学生のタカシくんだが、人間はほとんど関係なく、文具たちがタカシくんの部屋の中であーでもないこーでもないと日夜騒ぐ様子が描かれている。

　私も現在小学2年生の息子を持っているので分かるのだが、小学生の男の子の文具の扱いといったら乱暴極まりない。どんなに「消しゴムに鉛筆刺さないの！」と言っても、どんなに「鉛筆上下とも削らないの！」と言っても、どんなに「鉛筆の表面剥がないの！」と言っても本人はどこ吹く風。言われた瞬間は「はーい」と返事をしても翌日には同じことを繰り返している。学習能力がないんじゃないかと思うくらい、格好の的として文具に「何か」をすることをやめない。それだけ小学生の男の子にとって文具との出会いは画期的なことのようで、古今こういうことを繰り返して男の子は大人になるんだろうなと感じている。

　そんな辛い仕打ちを受けている文具たちが持ち主のいない時間に何を考えて、何をしているかを考えてみると、それは身近なテーマで、変な格好になった文具たちの必死な生き残りをかけた展開が涙ぐましいながらも楽しい。「おもちゃのチャチャチャ」よろしく本当にこんな風に文具たちが遊んでいたら楽しいが、これは漫画の世界。これを読んで自虐的ネタに笑いつつ、在りし日の小学生だった自分を思い出しつつ、今日も子供に「文具を大事にしなさいよ！」と叱咤し続けるそんな漫画である。

編集