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「時を往く馬」 竹宮惠子
投稿日 : 2006/05/15 13:45
投稿者 久保田r
参照先
2006年4月20日 (株)小学館 フラワーコミックススペシャル

<収録作品>
「時を往く馬」volume:1〜4
「☆KIDの不毛な冒険」episode:1〜6
「K子ちゃんの教授生活!?」file:1〜22、番外編
「脚本講座 時を往く馬」
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Re: 「時を往く馬」 竹宮惠子
投稿日 : 2006/05/15 13:46
投稿者 久保田r
参照先
 竹宮惠子の最新コミックス…なのだが…どちらかと言うと、大学教授振りをレポートしている「K子ちゃんの教授生活!?」がメイン。京都精華大学マンガ学部の教授を始めた手探り状態の教授業についてレポートしているもので、漫画家を目指して入学して来た学生たちと日々奮闘している様子をマンガでレポートしている。

 生活が教授業を中心として動いている為か、表題作「時を往く馬」についても”教師によるお手本”といった感じの作品となっており、メリーゴーランドの馬がガラスのボウルの中でクルクルと回る「スノーボウル」を素材とした短編集。幾つかの時代を人の手を経て地球のあちらこちらへと旅をする「スノーボウル」が行き着いた先で起こる様々な出来事。古いヨーロッパから大戦中の中国へ、現代の日本へ、紛争中の国へ──。これらの話はリンクされているので、「スノーボウル」と共に時を往く気分を味わえる短編集となっている。このストーリーは、巻末に「脚本講座」として載っているので、ストーリーを作る楽しみやコツといったものも学べるストーリーとなっている。

 「☆KIDの不毛な冒険」は、昔からのお得意の元気ハツラツ・ドタバタ・ファンタジー・コメディマンガ。3頭身キャラが織りなす愉快な漫画を楽しむことが出来る作品。

 そしてメインの「K子ちゃんの教授生活!?」。竹宮惠子は昔からよく「少女漫画入門」といった書籍を出していたので、教授業についてもなるべくしてなったという感じがする。マンガは、日本特有の文化ということで、要請もあって大学に学科が作られたということだが、これが未来の日本の漫画界にどういった影響を与えるかは今のところ謎。しかしマンガとは無関係と思われるような分野から思わぬ依頼があったりして、マンガの需要の幅が広がっているということなので、娯楽以上の可能性を発揮する文化として定着するかも知れない。手探り状態の大学のこれからの試みに期待。

 以上が、この本のレビュー。どれもが竹宮惠子らしさが詰まっているので、「外れ」ということはないと思う。しかし、年齢的にもキャリア的にも後進を育成する立場になって来ているということで、作家ファンとしては少々の寂しさがある。もちろん教授業は素晴らしいことだし、後世の為にも続けていただきたいと思うが、教授業とは別に新作を読みたいという気持ちがファンとして正直なところある。「風と木の詩」や「天馬の血族」「イズァローン伝説」といった大作とまでは言わないが、一から力を入れた新作をまた近いうちに読みたい。
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