2010年7月28日　EMIミュージック・ジャパン

（1）風
（2）游
（3）BEAMS
（4）Solitude
（5）津軽じょんから節 (新節)
（6）暁の光
（7）紙の舞
（8）時の旅人
（9）田原坂
（10）エン
（11）我風
（12）「風林火山」 〜月冴ゆ夜〜
（13）竹田の子守唄
（14）乱 〜 「その男」メイン・テーマ
（15）華 〜宙を舞う風の如く〜

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　2001年のメジャーデビューから活動10周年を記念してリリースされたベスト盤。上妻宏光さんは、津軽三味線の伝統的な曲からオリジナルの楽曲まで豊かな感性と確かな技術力で活躍を続けている津軽三味線界の貴公子。

　デビューアルバムの「AGATSUMA」からずっと上妻さんの作り出す音楽にはブレがないのがよいところ。感情を揺るがすメロウにしてメロディアスな旋律がドラマチックに奏でられているところがとても気に入っていてデビューアルバム以来ずっと聞き続けている。伝統的な曲も上妻さんの情感のこもった演奏を聞いていると不思議と古さは感じられず新鮮な思いで聞くことができるし、オリジナルの楽曲は余韻のあるドラマチックな音色が楽曲の世界感を作り上げていて本当に素晴らしい。また、洋楽とのセッションも相手の音を引き立てながら三味線の音と響きをアピールするという日本的な奥ゆかしい美が表現されていてこちらも素晴らしい。

　好きなアーティストのアルバムを聞き続けていると、1枚のアルバムの中からお気に入りの曲が数曲ずつ溜まっていき、それらを集めて自分なりのベスト盤を作るというのも音楽の楽しみ方の一つになる。そこで自分でセレクトした上妻さんのベスト盤を作っては普段のBGMとして聞いていたが、当ベスト盤の収録曲に目を通した際、自分のセレクトしたベスト盤と重なっている曲が半数以上あって素直に嬉しかった。当ベスト盤は、これまでのアルバムのイメージを代表する曲はもちろんのこと、上妻さんらしさの詰まった楽曲が多くセレクトされ、上妻さんの10年間の歩みが集大成として聞くことのできるベスト盤となっているように思う。入手以後は当アルバムを繰り返し聞き続けている。

　トップの（1）「風」は、切なく優しいメロディーが美しい曲。この曲は、私のイチオシの曲。そして熊本民謡を渋い男性の歌声でしみじみと聞かせてくれる（9）「田原坂」は、ベスト盤を作る上では外せない名曲。日本の民謡の持つ渋みと哀愁が感じられる素晴らしい楽曲。（12）「「風林火山」 〜月冴ゆ夜〜」は、2007年に放送された大河ドラマ紀行のテーマ。壮大な歴史世界への誘いをドラマチックに切なく奏でている。そして、当アルバムが単なるベスト盤でないことを示しているのがラストの2曲。（14）「乱 〜 「その男」メイン・テーマ」は、上妻さんが音楽監督を務めた舞台「その男」のメインテーマ。初CD化。（15）「華 〜宙を舞う風の如く〜」は、同じく10周年を迎えた尺八プレイヤーの藤原道山さんをゲストに迎えて作られた新曲。

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