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「バラッズ・アンド・ブルース1972」ジョージ・ウィンストン
投稿日 : 2002/02/11 03:35
投稿者 梶原正義
参照先
「バラッズ・アンド・ブルース1972−ジ・アーリー・レコーディングス−」ジョージ・ウィンストン

Deland,Florida Medley(Songs1-4)
1.Highway Hymn Blues
2.Song
3.Go'Way From My Window
4.The Woods East of Deland

5.Brenda's Blues
6.Miles City Train
7.New Hope Blues
8.Theme for a Futuristic Movie
9.Rag
10.Untitled
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−ジ・アーリー・レコーディングス−
投稿日 : 2002/02/11 03:36
投稿者 梶原正義
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ジョージ・ウィンストンと聴けば、『オータム』を始めとする一連の"癒し系"の美しいピアノ・インスト作品を思いだす人が多いでしょう。
そういう意味でも、このアルバムのタイトルを聴いて「知らね〜!?」と仰る方も多いかと思います。これはジョージ・ウィンストンの初のソロ・ピアノ・アルバムで、彼のCDの中で最も人気のない^^;アルバムでしょうね。
もともと、ジョージ・ウィンストンという人は、50年代終わりから60年代初期に一世を風靡したポップ・インストゥルメンタル・グループ(サーフィン、ロカビリーやカントリー!!)に熱中し、その後黒人R&Bにも目覚めたという、およそ"癒し系"のイメージとはかけ離れたコマーシャルなルーツを持っている。
そして、黒人R&Bやブルーズ、ジャズに影響を受けてピアノを始め、プロとしてのキャリアを開始する訳で、とりわけニューオーリンズあたりのラグタイム奏法から派生したストライド・ピアノ奏法を自身のトレードマークとして活動していた。
しかも、このアルバムのリリースはタイトルからも分かるように1972年であり、おまけに氏は1977年に一度演奏活動を辞めている。出世作『オータム』は1980年発売だから、随分とブランクがあったことになる(この時間が洗練さを生んだのだろうが)。
従って、『オータム』を始めとする一連の田園風"癒し系"サウンドを期待して、このCDを書くと見事に期待を外されるので注意が必要である^^;。
このアルバムは、一曲目の『ハイウェイ・ヒム・ブルーズ』のタイトルからして、もろゴスペル風ラグタイム・ブルーズである。パソコン仕事のBGMとして聴くと、癒されるどころか、アップテンポの早弾きピアノに思わず自身のキーボードを打つスピードも超特急になってしまうという騙し討ちにあってしまう^^;。
半分以上がこういうブラック・フィーリング溢れる曲だが、その中にポンと放り込まれたように美しいメロディアスな"癒し系"サウンドが始まるのだから、またしても意表を突かれてしまう。
上述の通り、イージーリスニング風ポップ・インストも彼のルーツの1つだから当然であるが、1972年頃はベトナム戦争の敗色濃厚、国内的には60年代ロック幻想の挫折により、"救い"や"癒し"を求めた内省的なシンガーソングライターやゴスペルロックがもてはやされた時代である。同じくゴスペル等をルーツとする黒人音楽を演奏していたこともこのアルバム収録曲の別の一面を示しているのだろう。白人黒人の共通文化としてのルーツ音楽を吸収しつつも、その底辺にある田舎風・フォーキーな感覚と感傷的なフレーバーにブルーズ・ジャズあたりの乾いたピアノの音を道具にゼイ肉をそぎ落として長時間熟成させた結果が数年後の『オータム』の成功へと結実したと言えそうだ。その意味でも未完成であるが故に発見できる氏の音楽性の豊かさを垣間見れる。
なお、プロデューサーにジョン・フェイやダック・ベイカーなど今をときめくルーツ系インスト・ギターの大家が名を連ねる。その意味でも今だからこそ多くの人にとっても興味深いアルバムと言えるだろう。
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