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「レッド・オクトーバーを追え」 トム・クランシー
投稿日 : 2002/09/22 08:57
投稿者 Excalibur
参照先
題名を見てアレアレと思う人もいるかもしれない。『レッド・オクトーバーを追え!』じゃないの、『!』が抜けてるんじゃないのと。でも小説邦題はこれでOK、『!』が付くのは映画版の邦題なのだ(同様に小説第4作目の邦題は『いま、そこにある危機』だが、その映画化作品は『今そこにある危機』だ)。混乱を招くから統一して欲しかったものだが、決まってしまったものは致し方ない。
私は先に映画を見ているのだが、正直言ってかなりチンプンカンプンだった。そこで「原作」小説にチャレンジしたわけだが、読むまでにかなり間があいたこともあってやはり今一つ。ところがその後で再度映画を見てみると、今度は実にすんなりと映画へ入っていけるのだ。そして小説を再読、こちらもスラスラと読める。反復しているから馬鹿でも頭に入るということもあるだろうが、つまりは掴み難い物語を把握するためには映画が最適で、割愛された細かいディティールをより深く楽しむには小説が一番というわけ。更に小説では視覚的に捉え難い描写も映画ではビジュアル化してくれているので、自分にとっては理想的な相互補完になったのである。勿論読書家からすれば邪道な読みかたであることは承知しているが、楽しめればそれでいいのではないかとも思う。なにせエンターティンメントなのだから。
そして充分に楽しんだ後には当然のように他のシリーズ作品にも手を伸ばして行くわけだが、ここで驚くのはそれら続編への伏線が既にこの一作のうちにかなり散りばめられていることである。ほんの短い出番しかないキャラクターが後の作品では重要人物になっているケースもしばしばで、一体本作執筆当時に作者はどこまでシリーズ化を念頭においていたのか非常に興味がある。「3部作構想だった」と後に語っていたようだが、それだけのネタは最低限持っていたことは疑いない。これだけで充分に完成されているが、同時にシリーズ物の一作目としても上々の出来というわけだ。
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