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「愛国者のゲーム」 トム・クランシー
投稿日 : 2002/10/26 15:26
投稿者 Excalibur
参照先
『レッド・オクトーバーを追え』、『レッド・ストーム作戦発動(ライジング)』に続く、トム・クランシーのデビュー3作目。主人公は『レッド・オクトーバー』と同じくジャック・ライアンだが、時間を遡りCIA入局以前のストーリーとなっている。アナリストという主人公としては些か地味な職業のライアンだが、今回は元海兵隊員に相応しい活躍も見せる。だがそれ以上に家庭を大事にする一人の男という面が強調されているので、殺伐とした活劇にはなっていない。これが映画になると(『パトリオット・ゲーム』)ハリソン・フォードが一対一で相手をぶちのめすアクション物になってしまうのだから、原作者が良い顔をしないのもある意味当然か。
前作でもライアンと英国の繋がりについては再三触れられていたが、その背景にはこういった事件があったのだという謎解きというか、キャラクターの幅を広げる試みがなされているわけだが、今更ながら前作執筆時にここまで考えていたのか、という驚きにも包まれる。こちらを先に読んでから『レッド・オクトーバー』を読んでも全く問題がない、というよりもむしろその方が自然に感じられるのだ。人間が書けない、テクノロジー描写だけ、とも揶揄されるクランシーだが、少なくてもストーリー構成、プロットの組み立て方は一級である証拠になるだろう。
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