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「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」 K・J・アンダーソン
投稿日 : 2003/10/12 11:51
投稿者 Excalibur
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著者は『スター・ウォーズ』スピンオフ小説などを手掛けたケヴィン・J・アンダーソン。というわけで同名映画の単なるノベライズにはとどまらず、原作コミックや原典小説からの引用も多く小説としての面白さも追求した作品に仕上った。映画を補完するだけではなく、別の楽しみも与えてくれるという点では、正にノベライズの鏡のような作品である。是非、映画とセットで楽しむことをお奨めします。

以下、原作コミック(実は翻訳が出てないので未読、ストーリーやキャラクター設定は一通り把握しているが)や映画版との相違点について触れるので、これから読む・見るという方はその後で目を通して下さいな。
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ネタバレあり!
投稿日 : 2003/10/12 11:52
投稿者 Excalibur
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今回メンバーに選ばれているのは7人。これは『七人の侍』や『荒野の7人』を意識した人数だろう。
リーダーはアラン・クォーターメインで、以下ネモ船長、ミナ・ハーカー、透明人間、ドリアン・グレイ、ジキル博士とハイド氏、それにトム・ソーヤーと続く。
うちドリアン・グレイとトム・ソーヤーは原作コミックにはおらず、特に唯一のアメリカ人であるトム・ソーヤーはアメリカ人観客向けに追加されたと思しい。アメリカの諜報機関員だが、ノベライズではファントムの犠牲になった諜報員仲間だった親友の仇討ちが目的。で、その親友というのが当然というべきかハック・フィンだということが終盤で明かされる。再三、故郷のミシシッピー川に触れるのもノベライズならでは。
もう一人のドリアン・グレイはミナ・ハーカーと元恋人同士という関係だが、こちらの詳細は語られずじまい(夫であるジョナサン・ハーカーとは死別)。ちなみに原作コミックでは、ミナがチームリーダーである。
キャラクターが違っているのは透明人間の正体。原作コミックに出てくるのは原典の主人公ホーリー・グリフィンその人だが、映画及びノベライズではロドニー・スキナーという別人で、透明薬を盗んだコソ泥。しかしノベライズでは実は英国諜報部員だっというオチがつく。ノベライズのオリジナル設定なのかどうかはわからないが、映画でもこのどんでん返しは欲しかった。
ハイド氏にはアドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』の獣人のイメージが意図的に重ね合わされているが、原作コミックにはその主人公オーギュスト・デュパンも登場、ノベライズにも名前がチラっと出てくる。

メンバー以外の重要人物ではMがいる。その正体がジェームズ・モリアーティ教授なのは原作コミックと同じ。言わずと知れたコナン・ドイルの産み出した名探偵シャーロック・ホームズの宿敵だが、ノベライズには原典からホームズとモリアーティの対決場面の引用がある。ここで両者は姿を消すのだが後にシリーズは復活、ホームズも無事に生還を果すのだが、この時期ホームズは死んだとされているので登場はしない。原作コミックでは当初ミナはMの正体をホームズの兄マイクロフト・ホームズだと思っているのだが、ラストでモリアーティに代ってMとなり第二部では彼が指令を下すようになる。
そしてその仮の姿ファントムだが、ノベライズではちゃんとガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』にも言及していた。この辺の配慮は映画版にも欲しかったところ。
またノベライズにはキャンピオン・ボンドという英国諜報部員がラストに出てくるが、これは原作コミックにも登場している人物。名前からある有名キャラクターとの血縁関係が類推されるが、その権利関係問題もあって映画では割愛されたようだ。ピアース・ブロスナンやティモシー・ダルトンあたりがカメオ出演でもしてくれていれば、もっと面白くなっていたろうに。

物語の展開は映画とノベライズに大差はないが、映画では一切オミットされた、世界大戦回避を目的とした秘密会議のためにベニスに集められた各国代表の右往左往ぶりがなかなか楽しい。これがないため映画はヤケにスケールが小さく感じられるのだが、二時間足らずでまとめるためには余計な描写でもある。
そして決定的に違うのはラスト・シーン。映画版では亡くなったクォーターメインをアフリカに埋葬。皆が去ったあと呪術師が現れ、もしかするとクォーターメインは生き返るのか?と思わせるカットで終わる。これは物語前半部分に出てくるクォーターメインのセリフ「『アフリカがわたし(=クォーターメイン)の生命を奪うことは決してない』と呪術師が祝福してくれた」を受けたものだが、ノベライズ版では火星に異常な現象が起こったので、また皆の力を借りたいというボンドの説得に耳を貸さず、クォーターメインを埋葬すべくアフリカへノーチラス号で旅立つところで終わる。原作コミックの第2部ではこのH・G・ウェルズの『宇宙戦争』を元に同盟の連中は火星人を相手に奮闘するのだが(しかも同じウェルズの『ドクター・モローの島』のモロー博士まで出てくる)、ハッピー・エンド風の映画版とこのノベライズ版、どっちがワクワクするかというと・・・ねぇ?
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