「陪審評決」 ジョン・グリシャム
投稿日 | : 2004/08/07 20:37 |
投稿者 | : Excalibur |
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映画にもなったし、ということで久々に読み返してみましたが、やっぱり原作の方が面白い! これはディティールの積み重ねの差なんでしょうね。
映画では謎の陪審員ニコラス、謎の女マーリー、それに被告側の陪審コンサルタント・フィッチと原告側の弁護士ローアの4人に絞ってお話が進められていますが、原作ではニコラス以外の陪審メンバーが結構個性的で魅力的なんですよね。そのメンバーを原告側・被告側双方が、これは自分達に有利な票が期待出来る人間、あちらは忌避すべき人間と品定めして票の計算をしていき、それをニコラスが様々な手を使って陪審メンバーから追い出して撹乱し、というやりとりが面白いんですが(原題の”The Runnaway Jury”というのもこのことでしょう)、そのあたりはバッサリと切り捨てられていますしね。ニコラスとマーリーの正体を探るべく暗躍するフィッチ、というのも今一つですし。
そもそも原作ではフィッチは真の主役とでもいうべき重要な存在ですけど、対するローアはそれほど重きを置かれていないんですよね。映画じゃダスティン・ホフマンが演じてるので殆ど主役級の扱いですけど。もし映画版に物足りなさを感じた方がいらっしゃれば、是非とも一読されることをお薦め致します。
なお、原作は映画と違って銃規制の問題ではなく、タバコ訴訟問題を扱っています。