「ライオンと魔女」 C・S・ルイス
投稿日 | : 2004/08/19 06:18 |
投稿者 | : Excalibur |
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映画化もされるし、ということで読み始めた<ナルニア国ものがたり>の第1巻。著者が友人同士だったからという理由でトールキンの『指輪物語』と比較して語られることも多いようだが、同じファンタジーで括られるとはいえ、全く別ジャンルの作品。キリスト教からの影響が強いということだが(作者自身はアスランをイエスと同一視しているようだ)、宗教問題に疎いせいか良くわからなかった。敢えていうならばアスラン復活の件かとも思うのだが、どうなのだろう。
さて、この作品をトールキン作品の次に読むとするならば、『ホビットの冒険』(トールキン)よりも更に年少者向けで、あちらの長大さを体験したあとではあっという間に物語が終る印象がある。もっとも全7巻を読み終えたときは、それなりの充足感を味わえるものと期待しているのだが。映画版も、下手にキャラクターを掘り下げるという名目でエピソードやシチュエーションを付け加えたり、超大作に相応しく水増ししたりということなく、肩肘張らずに小品としてじっくりと腰を据えた作品作りを目指して欲しいと思う。全米公開は来年クリスマス、日本でも同じ頃か、それとも再来年の春くらいだろうか、楽しみに待ちたい。
最後にこの翻訳だが、こちらにも「巨人ごろごろ八郎太」なるキャラクターが登場し、一気に興醒めする(訳者は『ホビットの冒険』や『指輪物語』と同じ)。勿論こういうセンスに肯定的な意見が多いのは承知しているのだが、どうしても抵抗感が拭えない。