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「クラバート」 オトフリート・プロイスラー
投稿日 : 2005/01/08 21:43
投稿者 Excalibur
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不思議な夢に導かれて、コーゼル湿地にある水車場を訪ねた孤児のクラバート。そこで彼は隻眼の親方に迎えられて粉ひき職人の見習いになり、11人の仲間たちと暮すようになる。そこは魔法の学校でもあり、クラバートは他の職人仲間たちと一緒に魔法を学ぶようになるが、その間に色々と不思議なことが次々に起きる。遂には大晦日の晩、信頼厚い職人頭が不可思議な死を遂げるという事件が起こるのだが、他の職人仲間が何事もなかったかのように振舞うのを見て、クラバートは密かにこの水車場の謎を探ろうとしだす。しかしそこには恐るべき秘密が隠されていたのだった。一年後、再び同様の事件が起こる。そして二年後、今度は直接クラバートに関りだしてきた。
水車馬での楽しい毎日の暮らしの描写とその裏に隠された暗い影、この二面性が大変魅力的な物語で、自分の意思をしっかり持つこと、それと友情の大切さなどが厭味なくこめられている。
個人的にちょっと引っ掛かったのは、水車小屋の職人と魔法使いというイメージが何となく結びつかないことと、キー・パーソンとなる少女とクラバートの結び付きが弱いと感じられる点だろうか。それにラストの親方との対決も、あっさりとしすぎなのも残念である。
元々は17世紀から18世紀のラウジッツ地方(ドイツとポーランドに跨る地域)に伝わる<クラバート伝説>を下敷きに、『大どろぼうホッツェンプロッツ』などで知られるプロイスラーがまとめたものということだが、そんな伝説があったことさえ初耳、あちらでは相当有名なお話なのだろうか。
なお文庫版の帯には「いい本です。自信をもっておすすめできます。」という宮崎駿監督の推薦の弁が載っているが、公開当時には『千と千尋の神隠し』との類似点が幾つかあげられ、本人もその影響は否定していなかったはず。更に今回の『ハウルの動く城』でも、原作にないハウルが鳥に変身する件など、この『クラバート』の影響だと指摘する声も少なくない。
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