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「川の深さは」 福井晴敏
投稿日 : 2005/03/08 21:46
投稿者 Excalibur
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マル暴刑事くずれのしがない警備員・桃山は、ヤクザに追われた少年・保と少女・葵に出会った。彼らの中に忘れかけていた情熱を見つけた桃山は、二人を匿うことに。しかし彼らは、実は国家機密を握っていたのだ。警察や自衛隊、秘密機関らが暗躍する戦いの場へ、桃山は知らず知らず巻き込まれて行く・・・。
『亡国のイージス』を先に読んでしまったが、熱血漢の中年と特殊訓練を受けた少年というこの桃山と保は、そのまま『イージス』の仙石と行のコンビの原型。尚且つ物語はこの後『Twelve Y.O.』を挟んで『イージス』へと繋がってゆくのだから、まだ福井晴敏作品を未読の方は、先ずこちらから読むほうが良いだろう(現在までのところ、福井晴敏作品は全てが――あの『∀ガンダム』のノベライズ作品でさえ!――何らかの形でリンクしているようだ)。それに発表は前後しているが、この作品は第43回江戸川乱歩賞の候補作品。惜しくも受賞を逃し(受賞作は野沢尚の『破線のマリス』)、次作『Twelve Y.O.』が44回の受賞作となってデビューすることになったが、こちらが実質的なデビュー作なのである。
狂信的な宗教集団による地下鉄爆破テロ事件に端を発し、北朝鮮問題や自衛隊の有り方を問い、クライマックスは首都東京での市街戦! となれば荒唐無稽過ぎて付いて行けない人もいるだろうが、粗さはあるものの小難しい理屈をこねない上質の娯楽作品になっていてラストもホロっとさせられる。
ちなみに表題は、作中に出てくる女性誌に載っているという心理テストに由来している。「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1.足首まで。 2.膝まで。 3.腰まで。 4.肩まで。」 これは情熱度を現しているということで登場人物の性格付けの一助になっているのだが、さて、あなたの答えは?
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