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「天使と悪魔」 ダン・ブラウン
投稿日 : 2005/04/17 22:26
投稿者 Excalibur
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ダン・ブラウンといえば『ダ・ヴィンチ・コード』が話題になっているが、こちらは同じロバート・ラングドン教授を主人公にしたシリーズの第一弾。
世界的に著名な象徴学者であるラングドンのところへ、スイスにあるセルン(欧州原子核研究機構)の所長から、男の全裸死体に押された焼印の紋章についての照会が来る。それは遥か昔に絶滅したはずの、秘密結社イルミナティのものだった。殺されていたのはセルンの科学者で、最近彼が秘密裏に世界で初めて大量の反物質の生成に成功していたこと、そしてこのサンプルが既に何者かによってヴァチカンに持ち込まれていることが判明。しかも核の数十倍のエネルギーを持つサンプルは安全装置が外され、24時間以内に爆発の危険がある。ラングドンは、殺された科学者の娘であり共同研究者でもあったヴィットリアと共にヴァチカンへ飛ぶが、おりしもその日は新しいローマ教皇を選ぶ選挙会(コンクラーベ)当日。しかも次期教皇の有力候補である4人の枢機卿が揃って姿を消していた。
ということで、誘拐された枢機卿の救出と盗まれたサンプルの奪還を目的としたラングドンたちとスイス衛兵隊によるタイムサスペンスが繰り広げられるのだが、かつて自分たちを迫害し続けたカトリック教会に復讐するため公共の場で一人ずつ枢機卿を殺害していくという犯人の予告に対して、ラングドンが知恵を振り絞りその場所を突き止めようとするのが要点。その際に多くの薀蓄が披露されるという次第である。
その謎解きや、犯人の正体とその目的に関しては、余程キリスト教や西洋美術に対する知識でもない限りは成程と肯ける性質のものではないと思うのだが、そんな小難しい理屈に頭を悩ませるまでもなく、怒涛の展開のアクション・スリラーとして充分に楽しめる逸品。先日ローマ法王が現実に亡くなり、まもなく実際にコンクラーベが開催されるが、そういった面からもタイムリーな作品になった。
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Re: 「天使と悪魔」 ダン・ブラウン
投稿日 : 2005/04/18 23:54
投稿者 結構仮面
参照先
「ダビンチコード」「天使と悪魔」続けて読んでしまいました。Excalibur氏の感想も的を得ていると思います。

 もうひとつ別の見方をすると、大ベストセラーらしいけど欧米の大衆娯楽小説ってこんな雰囲気なのかと思いを新たにしました。映画のシナリオ(粗筋を聞くと誰でも読みたくなるものね)なら面白いと思うけど小説としてはどうだろう。日本で言えばどの作品に比べればいいのかな。ちょうど良い作品が思いつかない。
 今は無きイワン・フレミングのジェームズ・ボンドシリーズもベストセラーだったけど、井上一夫の訳がよかったのか、娯楽小説としてレベルが高かったように思う。平井和正の狼男シリーズも紛れも無く娯楽小説だけど、ずっと格調が高い。まてよ、狼男は若い人向けの娯楽小説か。中年の男女にまで支持されて大ベストセラーになった大衆娯楽小説、日本ではなんだったろう。やっぱ質的に荒っぽい作品かしら。
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