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「『七都市物語』シェアードワールズ」 田中芳樹:原案/小川一水・森福都・横山信義・羅門祐人
投稿日 : 2005/05/04 20:57
投稿者 Excalibur
参照先
ここ2〜3年、遅筆で知られる田中芳樹名義の新刊が随分書店に並んでるなぁと思うのですが、その多くは過去の作品のお色直しばかり。判型を変えたり、出版社を変えたりで、殊に『アルスラーン戦記』や『タイタニア』などは「移籍に伴いシリーズ再開!」を謳い文句にしながらナシのつぶて。ファンに二重三重の出費を強要しているようで、どうも頂けません。やっぱりファンなら同じサイズ、同じ出版社でシリーズを揃えたくなってしまいますからね。
それに飽き足らず加えられたのが<シェアード・ワールド>という手法。これは自分が産み出した作品世界を他人様に開放して、そこで作品を発表してもらいましょう、というもの。日本では『ロードス島戦記』や『クリスタニア』などを除けばあまり例がないんですが、海外では『クトゥールー神話』など幾つかあります。リレー形式で書かれている『ペリー・ローダン』もこれに該当するんでしょうし、亡くなった作者の著作権者の許可を得て、有名作品の続編を書くという試みもこれにあたるんでしょうね。ファンが行っている二次創作物とどう違うのか、その境界線も難しいところですが(勿論公認か非公認かが分かれ目ですが、ここで言いたいのは作品の質の問題)、再発売と違って新作が読めるという一点に関しては喜ばしいことでしょう。既に『灼熱の竜騎兵』シリーズがこの方法で再開しておりますが、それにこの度『七都市物語』も加わることになりました。
「特別書下ろしアンソロジー」ということで、収録されているのは「ジブラルタル攻防戦」(小川一水)、「シーオブクレバネス号遭難秘話」(森福都)、「オーシャンゴースト」(横山信義)、「もしも歴史に・・・・・・」(羅門祐人)の四作品。続編あり、外伝ありとバラエティに富んでいて面白くはあるんですが、やっぱり「違う」というのが実感。それぞれ独自に新しいキャラクターを立てて物語を進めているので馴染みがない、というのが理由の一つ。そしてもう一つは、にも拘らず正編のキャラクターが殆どの作品で重要なキャラクターとして出てきてしまうこと。リュウ・ウェイ、ノルト、ギルフォード、AAA、などなどお馴染みの人物が出てはくるものの、その造型が違いすぎるので違和感ありあり。読んでいて「こんなのクルガンじゃねえやい!」という感想をきっと持ってしまうと思います。やはりこの手の「他人の褌で相撲をとる」作戦ならば、あくまでも外伝に徹して、主要キャラは名前だけか、せいぜいワンポイント出演に留めておくべきじゃなかったかと。次があるかどうかはわかりませんが、やるならばそのあたりは考慮して欲しいものです。それよりも何よりも、これはあくまでも場繋ぎ、時間稼ぎですから、本人の手になる新作を何とかして欲しいと思います。
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