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「星の王子さま」 サン=テグジュペリ
投稿日 : 2005/08/18 21:54
投稿者 Excalibur
参照先
岩波書店の独占的翻訳権が、今年1月に消滅。論創社、宝島社、中央公論新社、みすず書房、集英社、新潮社らがこぞって新訳出版に乗り出してきたが(最終的には10社程度になるらしい)、久々に読んでみたくなって手に取ったのは、昔ながらの内藤濯訳による岩波書店版。ただし今回読んだのは、作者が描いた本来の挿絵を復元したという、数年前に作者の生誕100年を記念して出版された<オリジナル版>で、ハンディ・タイプでありながらカラーで挿絵が載っているという、ちょっと贅沢なものである。

最初に『星の王子さま』を読んだのは小学生ぐらいだったろうか。それ以来何度か読み返しているけれど、実は未だにピンとこない部分がある。やっと家くらいの大きさだという、王子さまが住んでいた小さな星をはじめ、物語にはいくつもの星が出てくるのだけれども、この設定がどうにもこうにもしっくりとこない。物語を読むときに、理詰めに、整合性を取りながら、などということは普段全くといってしないのだけれども、殊この作品に関してはどうしても引っ掛かってしまう。そんなのあるわけないじゃないか、と。
それに語り部である主人公と王子さまとの会話と、回想の形で出てくる王子さまと色々な星の住人たちとの会話も、何やら禅問答じみて頭の中を素通りしていくだけ。そして唐突に思われるラスト・シーンの展開・・・。どうやら最初に出会ったときから、僕はこの本に相応しいほど充分な”こども”ではなかったらしい。それは不幸なことだった。いや、少なくてもそのことを不幸だと感じられる程度には、”こども”の心を残していたのだと思いたい。
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