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「ユダの山羊」 ロバート・B・パーカー
投稿日 : 2006/07/05 14:45
投稿者 久保田r
参照先
 スペンサーシリーズの作品。私立探偵、スペンサーは、とある老富豪から妻子を殺したテロリスト共を生死は問わぬから捕らえて欲しいという依頼を受ける。テロリストの本拠地ロンドンへ向かい、優れた直感力で犯人を追い詰める。スペンサーはやがて一人では負い切れなくなり、助っ人にホークを呼び寄せる。ある日ホークと共にマークしていた女性”キャシー”が、テロリストの組織の長に裏切られ、スペンサーとホークの所へやって来る。テロリストの組織の長、ポールの次の狙いは、モントリオールオリンピックだった。

 ハードボイルド作品なので、男の美意識がどんなシーンでも損なうことなく描かれていて、男の格好良さを堪能出来る小説。主人公のスペンサーは、”男はタフで優しくなければならない”というモデルのような人物で、恋人のスーザンを愛し、且つ危険にも果敢に身を投じる格好良い男性。作中、敢えてスペンサーの容姿について触れていないので、スペンサーについて読む人それぞれが想像出来るのが良いところ。今回相棒となるホークも、肌が黒いという必要最小限の表記しかなく、そして恋人のスーザンに至っても登場人物みんなの容姿についてはそれぞれ読む人の想像力に頼るようになっているので、余計な情報に惑わされずに読むことが出来るようになっている。

 この作品は、「テロリスト」と「人種差別」が一つのキーワードとなって悪の象徴となっている。老富豪の妻子を殺したテロリストは過激な人種差別をする組織で、その組織を根こそぎ捕らえる為にホークという人物が登場したのは、作品に託した作者の想いであるように思う。最終決戦となった場がオリンピック会場であることから、この作品はワールドワイドな視線で描かれている。その中で敢えてビジネスとして動くスペンサー。余計な色気など感じさせない渋いスペンサーは、やはり格好良い男の代表なのだと感じた。
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