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「キャッツキルの鷲」 ロバート・B・パーカー
投稿日 : 2006/08/24 13:53
投稿者 久保田r
参照先
昭和61年8月15日 (株)早川書房

 スペンサーシリーズのハードボイルド小説。今作では、スペンサーは恋人のスーザンの為のみに行動を決定しており、友人ホークと共に巨大な敵に立ち向かう冒険活劇的な見せ場満載の長編となっている。

 ストーリーは、スペンサーから離れたスーザンが西海岸で新しい恋人を作ったのだが、その恋人がスーザンを過剰に束縛しようとする為にスーザンはホークへ助けを求めた。しかし、ホークは罠に嵌められ留置場に。スーザンはスペンサーに助けを求める手紙を出し、ホークはスペンサーによって留置場から脱出することに成功した。スーザンの新しい恋人の名はラッセル・コスティガンと言い、全米一の金持ちのジェリィ・コスティガンの息子であった。スペンサーがコスティガン家と小競り合いをしていることを突き止めた政府(FBI、CIA)は、スペンサーにジェリイの抹殺を依頼する。ジェリイは武器商人で国にとって最も害のある男だった。スペンサーは、敵の懐に潜り込むチャンスと考えこの依頼を受け、スーザンを救出する。そして、ラッセルと話し合いをし、スーザンはスペンサーの元に帰り、最後はジェリィを闇に葬って一連の出来事に幕を降ろした。

 長編だけにストーリーの概略を説明するだけでも結構長くなる。スーザンを救出するという個人的な事情に政府が介入して来た為に大掛かりな話へと発展している。まるで映画のような盛り沢山の内容で、読んでいるうちに映像が見えて来るかのようであった。おそらく映画化されれば、アメリカ映画らしい派手なアクションに満ちたサスペンス映画になることと思う。

 スペンサーがかように危険を伴う大掛かりな事に飛び込むのは、すべてスーザンへの愛情によるもの。根底の部分では分かり合っている二人なので、最終的には元の鞘に収まるが、揺れ動くスーザンの気持ちも正直な告白も全て受け入れるスペンサーの懐の深さには例えようもない愛情を感じる。タフで優しい男の真の強さを見ることが出来る。

 スペンサーの協力者としてこれまでの作品に登場したレイチェル・ウォレス(「レイチェル・ウォレスを捜せ」)や、ディクスン(「ユダの山羊」)が登場する。オール・スターキャストの感のある豪華な顔触れの今作品となっている。
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