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「天国への階段」 栗本薫
投稿日 : 2006/09/05 15:00
投稿者 久保田r
参照先
昭和56年12月20日 (株)角川書店 角川文庫

<収録作品>
「探偵(哀しきチェイサー)」
「イエロー・マジック・カーニバル」
「ワン・ウェイ・チケット」
「天国への階段」
「新宿バックストリート」
「ポップコーンをほおばって」
「おいしい水」
「軽井沢心中」
「イミテーション・ゴールド」
「解説」亀和田武
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Re: 「天国への階段」 栗本薫
投稿日 : 2006/09/05 15:00
投稿者 久保田r
参照先
 作者が20代の時に書いた短編集。国内外のヒット曲を題材にして9編の短編が収められている。栗本薫という作者は、ミステリー作家でありハードボイルド作家でありファンタジー作家であり時代小説作家でありSF小説作家でもあるというマルチな作家として有名で、その多様な才能の作者の作品を短編という形で、それも一冊で9編も読むことが出来るというのは、なかなかに恵まれている本だと感じた。ヒット曲から得たイマジネーションを膨らませた短編ばかりの本。ヒット曲には、歌を作詞した”作者”が存在するので、作詞家とのコラボレーションとも言えるような本だが、もちろんそういった意図の本ではなく、栗本薫が自分のフィールドの中で書いた小説ばかりが載っている。

 私がこの本に興味を惹かれた大きな理由は、甲斐バンドの曲「ポップコーンをほおばって」の存在で、このストーリーを読んだ時、自分が持っているイメージとは違う過激な世界が広がっていて大きな衝撃を受けた。これが栗本薫の持つイメージなのか!と愕然としたのだが、小説と個人のイメージが異なっていて当然だろうと間もなく気づき、それからは一つの歌からここまでのストーリーを作り上げる”栗本薫の発想力”を楽しみながら読むことにした。

 どの作品も”栗本薫らしさ”が表れている。歌に飲み込まれない栗本薫独自の表現で書かれている。作者の多彩な才能が窺える少年少女やチンピラやブンヤなどが主人公として登場し、短いストーリーの中で役目を得て生き生きと行動している。ストーリーの中に入り込む頃にはもはや歌の存在は忘れ、ストーリーの行方だけが気になるようになる。そして、結末を読み終える頃にもう一度ふと歌のタイトルが思い出され、なるほど…と妙な納得感を覚えるようなストーリーばかりとなっている。栗本薫の感性を「歌」という切り口から感じることが出来る短編集。
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