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「いつか、スパゲティ」 イッセー尾形
投稿日 : 2009/08/31 15:28
投稿者 久保田r
参照先
1999年8月20日 (株)新潮社

<収録>
最高級裏地あります/小手先の虹/猫の病い/新曲の構想/終わりの体積/たまちゃんの冒険/ガラス窓のジゴロ/無伴奏/ヨーコに呼ばれて/山あいに陽は落ちる/倫敦の歌姫/ひやかし金魚たち/夕立のハイビスカス/影色の顔写真/北欧の占い/父の彗星/キヨシのパノラマ/昨日、今日、明日の最後/割り箸に花びらが/明日の貴婦人たち/いつか、チョコレートパフェ(全21篇)

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Re: 「いつか、スパゲティ」 イッセー尾形
投稿日 : 2009/08/31 15:31
投稿者 久保田r
参照先
 '95年〜'97年にかけて「小説新潮」にて掲載されていたイッセー尾形さんの短編を集めた本。多種多様な主人公が揃っていて、フォークシンガーや、新聞の勧誘員や、肉屋の娘や、調律師や、バーテンや、女子高生などなど…年齢性別を問わず、老若男女バラエティな主人公たちが、独特の世界観の中で人生を生きている。

 イッセー尾形さんといえば、一人芝居の第一人者として有名な方で、その舞台は、独自の世界観で構成されており、イッセー尾形さんが演じる登場人物(キャラクター)の年齢や性別や性格は様々。老人を演じても若者を演じても、イッセー尾形さんの人間観察により生まれた奥の深いキャラクターとして完成され、人間性豊かに舞台の上で表現されている。

 そんなイッセー尾形さんが生み出す独自の世界観とキャラクターは、この短編小説の中でも余すところなく発揮されており、物語の中で一風変わったキャラクターたちが個性豊かに強烈に人生を生きているのが感じられる内容となっている。一般的な職業とされるサラリーマンや一般的な主婦などは登場せず、イッセー尾形さんの人間観察に裏打ちされた、主に個人で活動するような様々な分野の職業の人物たちが登場し、沁みるような哀しさとほろ苦さとちょっとしたユーモアが織り混ざった読み応えのある短編集となっている。

 字面を追っているだけでも楽しく読むことのできる内容だけれど、登場人物が時折発する台詞や文章の端々に、人生についてふと気付かされる表現があり、1作読むごとに深い味わいを覚える本だった。イッセー尾形さんの人間観察と、表面的なところから一歩奥へと踏み込んだ表現力の深さまでもが感じられる哲学的な雰囲気が感じられた。
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