『聖戦士キリー』＜銀河創世紀伝＞１　藤川桂介

コバルト文庫で『六神合体ゴッドマーズ』のノベライズ版をヒットさせた藤川桂介が着手したオリジナルＳＦシリーズの第一弾。
１９８２年の惑星直列から始まった天変地異、そして１９９９年の世界戦争によって荒廃した地球。
そんな地球にシャングリア人が現われ、地球の再建に力を貸した。彼らは定住星を持たず、必要なときに惑星に立ち寄って羽を休め、また再び旅立って行くという放浪の民族なのだ。そしてシャングリア人の下で着々と復興なっていく地球。しかしそこへ侵略の魔手が伸びようとしていた・・・。
地球を舞台にした異星人の物語というのは珍しいが、ストーリーの軸は、放浪というシャングリアの伝統を守ろうとする一派と、新しい生き方を求め地球へ定住しようとするグループとの対立を背景に、市民出のキリー・シンクレアと、ロマンサ王の息子サターナ・シャングリアという二人の若きリーダーとの対立・友情といったものを描くことにあるようだ。
当初全３巻の予定で刊行されたが、好評につき＜新・銀河創世紀伝＞としてもう３巻が追加され、イメージ・アルバムも発売された。更にその後の新展開も予定していながら、中断したままで早１６年。
著者も『宇宙皇子』をはじめとする歴史物中心になってしまっているので、もう再開は望めないのだろうか。

編集