「約束の地」 ロバート・B・パーカー
投稿日 | : 2010/04/23 17:04 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
昭和62年4月15日 (株)早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫
スペンサーシリーズの4作目となる作品で、1976年度アメリカ探偵作家クラブ長篇賞受賞作品。
スペンサーの新オフィスにシェパードと名乗る実業家がやって来て、家出した妻の捜索を依頼する。スペンサーは、妻の居所を探し当てるが、夫の愛に窒息しそうになるという意思を汲み取り、居所を夫のシェパードには伏せていた。そこへ、妻を匿っていたウーマンリブ運動家が銀行を襲い老人の警備員を殺し、また依頼人のシェパードは高利貸しのキング・パワーズより金を借りたことで抜き差しならない状況になっていることが判明する。複雑に絡み合ったこれらの状況を打破するためにスペンサーが練った計画とは。
女の私には難解な内容だったというのが偽りのない感想。こう書くと性差のある発言になってしまうのかも知れないが、このストーリーは、ある夫婦間の愛情表現の縺れから端を発してウーマンリブ運動家が登場し、また男の弱味につけ込む組織が登場し、全体を通して男と女の対立的な側面が描かれていたので、ずっと男女間の感覚の違いを見せつけられているような感じであった。この作品を書いた作者は男性であるし、主人公のスペンサーも男性であるので、男性が読むと私とは違った感想になるのではないかと思う。
惹かれ合って結婚した男女の気持ちがなぜ離れてゆくのか人間の永遠の課題とも言えそうな内容が描かれている。そして、他人の夫婦のそういった問題に直面し、さらに危険な目に遭いながらもスペンサーとスーザンはお互いに歩み寄る努力を怠らない。男女の複雑な愛の姿勢が描かれている。