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「鬼姫人情事件帖」 鯨統一郎
投稿日 : 2013/08/25(Sun) 19:41
投稿者 Excalibur
参照先 http://odin2099.exblog.jp/
おりんは、鈴屋という居酒屋の看板娘。記憶をなくして倒れているところを店の老夫婦に助けられ、以来店を手伝っているのだが、器量良しで気立ての良い彼女目当てに通う常連客も増えてきていた。
ある日、顔見知りの女性が殺され、その下手人と目された男が自殺するという事件が起こった。
何とか仇を討ちたいと願うおりんは、自分が何故か長刀の使い手であると同時に、胸を合わせた相手の心を読めるという不思議な能力を持っていることに気付く。
その不思議な能力を使って真相を突き止めたおりんは、「鬼姫」となって悪を成敗する!

「富士参り」「人形流し」「七夕」「月見」「七五三」「羽子板市」「薮入り」の七篇の短編から構成された連作ミステリー。事件はおりんの身の回りで起き、意外な真犯人を「鬼姫」となって斬る、というのが基本パターン。と同時に、おりんの自分探しの物語でもある。
実は彼女は、武蔵国・美里藩の若殿・熊川吉右衛門の姉「りん姫」で、何らかの秘密を知ってしまった為に命を狙われ、追手から逃げる途中で滑落して記憶を失っているのだが、はたして彼女が自分の記憶を取り戻すのかどうか、も毎回のポイントになっている。

特殊な能力で事件を解決してしまうのは、ミステリー物としてはどうなのかと思うが、明らかになる真相は随分と捻ってあるし、各編のボリュームも大きくないし、それなりにレギュラー脇役も揃っているので(といっても人数多すぎて活かしきれてないが)、軽く読む分には充分楽しめる。ミステリー物よりはチャンバラ劇の趣が強いので、これをマンガにしたりドラマ化したら面白いかも知れない。

自分の正体が何者なのかは知ることが出来たものの、依然彼女自身の記憶は戻らないまま。「りん姫」としての彼女には決着が付いていないので続編希望。というより、シリーズ化を睨んだ作品だとは思うが。

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