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「ラブコメ今昔」 有川浩
投稿日 : 2013/08/28(Wed) 15:06
投稿者 久保田r
参照先
平成24年6月25日 角川文庫

<収録作品>
ラブコメ今昔
軍事とオタクと彼
広報官、走る!
青い衝撃
秘め事
ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編〜
単行本あとがき
文庫本あとがき
解説:誉田哲也

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Re: 「ラブコメ今昔」 有川浩
投稿日 : 2013/08/28(Wed) 15:07
投稿者 久保田r
参照先
 「クジラの彼」に続く”自衛隊ラブコメ”シリーズ。若い女性広報自衛官が厳しい上官に奥様との馴れ初めを話すよう迫る話「ラブコメ今昔」、年下の自衛官との遠距離恋愛話「軍事とオタクと彼」、テレビ局のドラマ撮影スタッフと男性広報自衛官の恋の始まり「広報官、走る!」、ブルーインパルスのパイロットを夫に持つ元整備士の妻と横取りを狙うストーカーまがいのファンとのやりとり「青い衝撃」、上官の愛娘と恋愛中の自衛官の悩み「秘め事」、上官に奥様との馴れ初めを話すよう迫った女性広報自衛官の恋が実るまで「ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編〜」。これら6編。

 前回のタイトル「クジラの彼」も秀逸であったが、今回のタイトル「ラブコメ今昔」も、この題名から誰がその中味を想像出来ようかというほどの出来映え。丸々一冊、国防のために日夜体を張って働いている自衛隊員の恋愛話だとは、そう簡単には察することのできない素晴らしいタイトルとなっている。このタイトルでは、単純に昔と今の恋愛模様が描かれているのだろう…ぐらいにしか想像できないのに、話の主人公が自衛隊員となると描かれている話の背景や趣きが一般のそれとはガラリと変わって来る。組織内の縦の繋がりが強いであろう自衛隊員の上官時代の結婚とはどのようなものであったのか、そして時代が移り変わったイマドキの若者の恋愛とは。表題作は上官の時代の恋愛話であるのだが、最後の最後に鮮やかなお手並みが待ち構えている。ほんの2行の会話の中に何故上官の恋愛話が必要であったかという理由が読む者の中に急激にストンと入ってくる鮮やかな切り返しが用意されている。このお手並みには率直に感動。

 他5編のタイトルも前回よりはラブコメ向きなテイストとなっており、ソフトな印象となっている。自衛官同士の恋愛ストーリーは最後の「ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編〜」のみで、後は自衛官と一般人という組み合わせ。とは言っても元自衛官であったり、自衛官の娘であったりするので、その辺がやはり特殊な職業である自衛隊ならではの世界観かと。基本的にはどれも自衛官と恋愛することの大変さみたいなことが障害として描かれてあり、それを乗り越えて幸せを掴むまでが描かれているのだが、自衛隊だけにその障害とは命に関わる重みを持っていることが特徴。だから一層人を好きになることに対して真剣な姿勢となる。そしてより一層のドラマチックさ。人を好きになることと恋愛をすることが素敵に思える本。
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