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「捨て童子・松平忠輝」 隆慶一郎
投稿日 : 2001/01/03 17:13
投稿者 Excalibur
参照先
松平忠輝という人物に興味を覚えたのはいつからであったろうか。
徳川家康の六男でありながら、若くして永代流罪となった人物。秀忠側から見て、謀反を画策した不詳の弟という括りで描かれたドラマもありはするが、まず一般には知られていない。
そんな中で出会ったのが、TVでの長時間時代劇がもてはやされた頃に放映された単発ドラマ。
忠輝を主人公として、兄・秀忠との確執や柳生但馬守をはじめとする刺客との戦い、義父である伊達政宗との関係を描いたこのドラマは、言ってみれば日陰の人物にスポットを当てた珍しい作品(その背景には各局競って時代劇を製作する上での差別化の意味もあったのだろうが)。
このドラマの脚本家・池田一朗こそ、本書の著者・隆慶一郎その人であり、多くの制約の中では描ききれなかった素材を使っての、完全版といった意味合いが強いのが本作である。
人並み外れたスケールを持った人物の描写を得意とする著者は、ここでも時代を超越したといって言い忠輝という人物を余すところなく捉えており、大衆娯楽小説としての完成度を高めている。
また、傑作『影武者徳川家康』の続編的側面も備えているので、併せて読むとより一層楽しめるだろう。
惜しくもこれが著者の最後の(完結した)長編小説になってしまったのだが・・・。
同じ著者の『一夢庵風流記』を原作とした原哲夫のコミック『花の慶次』は、本作から引用したエピソードも多いので、そちらに興味のある方にも一読を薦めたい。
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