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「七都市物語」 田中芳樹
投稿日 : 2001/01/12 23:38
投稿者 久保田r
参照先
1990年3月15日 ハヤカワ文庫
地軸が90度転倒し、南北両極が赤道地帯に移動する”大転倒”によって、地上の人類は滅亡した。幸いにも月面に難を逃れた人々は地上に七つの都市を建設し、新たな歴史を繰り広げる。一方、月面都市は新生地球人類が月を攻撃するのを恐れるあまり、地上500メートル以上を飛ぶ飛行隊すべてを攻撃するシステムを設置し、これが稼動状態のまま疫病によって滅び去ってしまう。(背表紙より抜粋)

先ずは、一番最初に収められている「北極海戦線」のそれも一番最初の出だしにツッコミを・・・。
『・・・・・・周知のように、』。・・・知らないです(笑)。
どんな本でも読み始めというのは、これからどのようなストーリーが待ち受けているのかという期待にも似た緊張感を持つものですが、私はこの出だしを読むなり上記のツッコミを呟き、おかげで緊張は解れて程よいペースで読むことが出来ました。
西暦2190年という未来の設定とはいえ、戦闘機による攻撃をオリンポスシステムによって封じられていますから、地上若しくは水上で戦闘を行う他はなく、脳裏に描かれる戦闘のイメージは、私が生まれるずっと昔の戦争のイメージと重なります。そのような状況での戦闘となると、限られた条件で有効に勝つ手段を講じられる指揮官が必要不可欠となるのですが、各都市を代表する戦闘指揮官たちはみな優秀であるのに、一風変わった人格の持ち主が多いです。
そして私は、そんな一風変わった指揮官たちにハマったのでありました。
全体を通して主役(?)のアルマリック・アスヴァール(AAA)を始め、頬に傷を持つ男ケネス・ギルフォード、足が不自由ながらも負けない指揮官ギュンター・ノルト、この男のチェスの相手をすると狭心症に似た症状を引き起こすはめになると言われる変悪人ユーリー・クルガンなど、実に多彩で変わった性格の持ち主が各都市軍を指揮しています。
彼らの指揮振りと思考の妙。たった1冊ではありますが、彼らにハマったおかげで、私にとってはずっしりと存在感のある小説となりました。
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Re: 「七都市物語」 田中芳樹
投稿日 : 2002/09/05 21:53
投稿者 Excalibur
参照先
五篇からなる連作短編の形で発表されたSF小説。
地球の地軸が90度傾き、南北両極が赤道地帯へと移動するという「大転倒」により、人類はほぼ全滅。月面都市で難を逃れた人々は、災厄後に地球へと降り立ち七つの都市を建設した。だが月に残った人々は自らの優位性を維持するために<オリンポス・システム>――地上500メートル以上を飛ぶ飛行物体を無人軍事衛星により即座に破壊するシステム――を構築した。
これによって人々の生活は海と陸に限定され、レーダーも空中兵器も殆ど存在しない世界では、艦船が主要な位置を占めている。そのため未来世界を舞台にしながらも、どこか架空戦記モノの様相を呈している。
七つの都市――アクイロニア、プリンス・ハラルド、タデメッカ、クンロン、ブエノス・ゾンデ、ニュー・キャメロット、サンダラー――はある時は同盟を結び、ある時は敵対し、互いに牽制しあいながらもいつかは他の都市の上に君臨することを狙っていた。当然それら各都市を代表するような一癖も二癖もあるような連中が跋扈し作者特有の丁々発止のやりとりを見せてくれるのだが、短編集ということもあってか各キャラクターの魅力が今一つ伝わってこない。物語自体もまだまだ序盤という雰囲気で、早めのシリーズ再開を望みたい。
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