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「鰻のたたき」 内海隆一郎
投稿日 : 2008/12/18 16:06
投稿者 久保田r
参照先
1997年11月20日 (株)光文社 光文社文庫

 料理にまつわる人々の悲喜交々の人生を描いた短編集。小料理屋、居酒屋、焼鳥屋、食堂、バーなど、その店を経営する店主と客の人生の出会いと別れが、温もりのあるまなざしで描写されている。

 登場するどの飲食店も大人向けの店ばかりで、そこで織りなされるストーリーも人生の悲哀や渋みといったものが描かれているので、読み手もそういった店の雰囲気を知っている年齢の方がストーリーの内容をよりリアルに捉えることができ、読む手応えがあると思う。ほとんどの作品が夜の店を舞台にしているとはいえ、暴力的ないざこざや血なまぐさい描写はなく、小さな間取りの店を細々と切り盛りしている店主の哀愁を感じる人生が淡々と綴られていて、読みやすく理解りやすい文章となっている。

 夜に店を開けている飲食店の店主というのは、どことなく普通の勤め人とは種類の違う人生を背負っている雰囲気がある。そんな勤め人の息抜きの場でもある料理店を営む人たちの人生を垣間見るかのような1冊。

<収録作品>
鰻のたたき/板場の水/赤い煉瓦/正月前後/親ゆずり/朝の定食/ポテトサラダ/山菜摘み/乳母がわり/大事な客(全10篇)

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