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「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」 ジェームズ・カーン
投稿日 : 2002/06/14 22:42
投稿者 Excalibur
参照先
前二作のノベライズは先ずハードカバーで出版され、しかる後に文庫化されたが、これはいきなり文庫でラインナップされた。時代の流れか、この頃からノベライズは文庫での発売が主流になってゆく。
おかげさまで発売日(確か映画公開の1ヶ月半ほど前だったか)に入手してすぐ読破したのだが、読み終わってあっけに取られたのを覚えている。えー?ダース・ヴェーダーは本当にルークのお父さんなの? ルークとレイアが双子の兄妹?(似てねぇぞ〜!) 『ジェダイの復讐』ったってジェダイ騎士はルークだけじゃん?! 最後はヴェーダーが改心して皇帝をやっつけておしまいかよ? てな具合である。 三部作のトリを飾るにしては、あまりにこじんまりしていないかぁ? 結局その感想は実際に映画を見ても変わらなかったし、今でもそう思っていることを否定はしない。もっとも今では小説やコミックでその「続き」が楽しめるので、一つのエピソードの締めくくりとしてはこんなものかなぁという感じ。こういった考えは、原典である映画三部作を神聖視する熱狂的ファンからすれば冒涜的だろうが、既に映画のストーリーが膨大な<スター・ウォーズ・サガ>の流れの中に埋没し、映画発ではなく小説発のファンも現れた今となっては、決して特異な考えではないと思う。
それはさておきこの小説版、三作中ではもっとも読み応えがあるものに仕上っている。というのも、この物語は題名「ジェダイの帰還(原題)」が示す通りフォースの暗黒面に落ちたヴェーダー(アナキン・スカイウォーカー)が、見事ジェダイの騎士へと「帰還」する物語なだけに、真の主役はヴェーダーだといっても過言ではない。そして、映像作品ではマスクを被ったキャラクター故に描き難いヴェーダーの心理的葛藤を、実に丹念に描写しているのだ。実際の映画では些か唐突に映るヴェーダーの裏切りも、この小説を読めばかなり得心がいくようになっている。これは小説というメディアの特質を生かしたものといえるだろう。
ただその後の<スター・ウォーズ・ユニバース>の拡大によって、現在では馴染まない記述も増えてきているのも事実。例えばこのヴェーダー、作中では「老人」と表現されている箇所がある。これは当時の設定に基づいたもので、この作品におけるヴェーダーの年齢設定は60歳近かったからなのだが、現在の設定では40代半ばということもあって「老人」扱いするにはかなり抵抗がある(実際の映像作品に登場したアナキンもかなり高齢に見えるが、今後手直しされることもあるのだろうか)。また、ルークの育ての親オーウェンを、オビ=ワン・ケノービは「弟」と呼んでいる(オーウェンもしくはその妻ベルーのどちらかがケノービの実の兄弟ということだ)。これはルークがオーウェンの甥であることを否定したことにはならないが、ルークとケノービが更に近しい関係にある可能性も示唆していた。ところがその後の作品群(『エピソード2』を含めて)によると、どうやらケノービは天涯孤独であるらしいこと、そして義理とはいえアナキンとオーウェンが兄弟であることが明かになり、この解釈は崩れかけているのだ。だが、それらをひっくるめて楽しむのが、<スター・ウォーズ・ユニバース>であることも間違いない。
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