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「亡国のイージス」 福井晴敏
投稿日 : 2002/08/16 22:17
投稿者 Excalibur
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分厚い単行本が出たときから気になっていた一冊だったが、文庫になったのをきっかけに購入。といっても、550ページ余りで上下分冊という分量はおいそれと読めるものではないが、それでも気付いたら一気に読破していた。
沖縄の米軍基地で起こった未曾有の大惨事に端を発して、任官を目前にした息子を交通事故で失った艦長、長年連れ添った妻から突然別離を告げられた専任海曹、自ら父を手にかけた過去を持つ青年らを乗せたミサイル護衛艦≪いそかぜ≫は国家の、そして個人の思惑の錯綜する海へと船出して行く。米軍基地の事故の真相、北朝鮮の陰謀、事故ではなく国家の大儀の前に消された青年・・・物語はネタを小出しにしながら、読者のミスリードを誘っていく。一度は明かにされたと思われた「真相」が次の局面では否定され、二転三転してゆく。登場人物一人一人にドラマが用意され、それらがアンサンブルを紡ぎ出す。かわぐちかいじの人気コミック『沈黙の艦隊』との類似性を指摘されるが、あちらほどのスマートさはなく、むしろ泥臭い。また、一見するとポリティカル・サスペンス、ハイテク・ミステリーに分類されがちだが、これは意地と意地がぶつかり合う、紛れもない「漢」の物語なのである。
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