2009年の氷室京介氏のシングルは、iTunes Storeにてリリースというデジタル配信のみ。その上アメリカやイギリスの若者を中心に絶大な人気を誇っているロックバンドMy Chemical RomanceのボーカリストであるGerard Way氏が詞と曲を手掛け、楽曲を提供すると共にボーカリストとしても参加しているという何ともスペシャルなコラボレーションが実現している。

　氷室氏が全英語詞を歌うということについては、アルバム「IN THE MOOD」で収録済みであるので特に驚きといったものはないが、よもやこんなに早くシングルで実現するとは思わなかったという点では、驚きがある。それもなんと、外国人ミュージシャンが詞と曲を提供しているとあって二重の驚きとなった。

　私は、My Chemical Romanceというバンドを知らないので氷室氏寄りの見方となってしまうが、冒頭のギターの音、鳴り方、そして滑り込むように入ってくる氷室氏のボーカルは、これまで通りの氷室氏の音楽と違和感がないと思う。やがて、徐々にコーラスが被ってボーカルに厚みが増して来ると少しずついつもの氷室氏の音楽とは異なる響きとなり、2番でGerard Way氏のボーカルが鮮やかに入り込むと、さらにこの曲が一線を画す存在であることを印象付け、このまま勢いよく突っ走るのかと思いきや、後半にきちっと氷室氏のボーカルが入り込み曲の主張とメリハリを与え、そしてラストに向けて盛大に盛り上がっていというインパクトと疾走感のあるロックサウンドとなっている。

　この曲は、「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN COMPLETE／ブルーレイ・ディスク完全版」のエンディング・テーマとなっており、さらに今年の8月には、Gerard Way氏が「SUMMER SONIC 09」のヘッド・ライナーとして出演のために来日とのこと。話題性十分な新曲。