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「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」
投稿日 : 2002/01/27 23:06
投稿者 Excalibur
参照先
このLPが大ヒットしたことによって、アニメーション(というよりも子供番組全般)の音楽の地位が向上した。多少なりとも音楽の予算が増え、またその音源が商品化されるようになりファンの手元に残ることにもなった。これがこのLPの「功」である。
一方で猫も杓子もシンフォニー一辺倒になり、シンフォニーに相応しい作品なのかと首をかしげるような作品の音楽まで交響組曲化していく。そして何よりも『ヤマト』にとっては、肝心のオリジナルBGMの発売がかなり遅れたこと、これが「罪」。
このLPの「功罪」を比較すれば圧倒的に「功」の部分が多いが、なかには「罪」と呼べる部分もあったことにも一応触れておく。中には「交響組曲だから売れたのだ」という意見もあるのだが、私に言わせればそれは論旨のすり替えである。ファンは『ヤマト』の音楽だから買ったのであって、端から交響組曲化を願っていた訳ではない。交響組曲ではなくオリジナルBGMを発売していたとしても、かなりのヒットは望めただろう。後年リリースされたBGM集が、交響組曲がありながらも(しかもリリースのタイミングをかなり逸したにも関らず)かなりのセールスを記録した事実からもそれはそれは明らかだろう。また最初の『ヤマト』のBGMはシンフォニーというよりもジャズが基調だったが、『さらば』以降「ヤマト=シンフォニー」という図式が出来てしまったのも、ある面では音楽的制約を自らに課してしまうことになったのかなと思うのだが、如何なものだろうか。

さて発売に至る経緯はさておき、完成したこの「交響組曲」は確かに素晴らしいものだった。それ自体には全く異論はない。
「序曲」のスケール感はアニメーションの実作品を越えた作品の広がりを感じさせてくれたし、厚みのある編成で奏でられるヤマトのメロディは、映像作品以上の重量感をヤマトそのものに与えてくれている。「真赤なスカーフ」のポップすぎるアレンジや、オリジナルにあった透明感とはまた違った温かみを感じさせる「イスカンダル」のアレンジなど、オリジナルBGMに拘れば拘るほど抵抗感を覚えるのも事実だが、やはりこれは映像を支えるBGMではなく、映像を離れた『ヤマト』そのものを補完する性質のもの、映像作品『ヤマト』を母体にしながらも、全く別種の「交響組曲」という独立した作品なのだと考えれば得心がいく。
音楽構成に目を転じても、「誕生」「サーシャ」「試練」「出発」という流れは本来の物語の流れにはそぐわない。だが独立した「音楽物語」としての「交響組曲」を考えるならば、頷ける構成とも言える。「序曲」で始まり、終曲とも言える「明日への希望」で終わるのは正に「組曲」と呼ぶに相応しい。さらに「スターシャ」という新曲まで付け加えられているあたりは、コンサートにおけるアンコールの趣である。コンサートといえば以前から一度全曲をきちんとした形で生で聴きたいという夢を持っているのだが、何とか実現しないものだろうか。未だかつて全曲を通しで演奏した例はないはずなだけに。
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データ
投稿日 : 2002/01/27 23:08
投稿者 Excalibur
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1.序曲
2.誕生
3.サーシャ
4.試練
5.出発(たびだち)
6.追憶
7.真赤なスカーフ
8.決戦〜挑戦=出撃=勝利〜
9.イスカンダル
10.回想
11.明日への希望〜夢・ロマン・冒険心〜
12.スターシャ

プロデューサー/西崎義展
作・編曲/宮川 泰
スキャット/川島かず子
演奏/シンフォニック・オーケストラ・ヤマト
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ラジオ
投稿日 : 2002/01/27 23:07
投稿者 Excalibur
参照先
なおこの「交響組曲」のファースト・プレビューは、レコード発売に先駆けて「オールナイトニッポン」で放送されたラジオドラマである。ドラマそのものについてはいずれ別の機会に取り上げるが、本来は「交響組曲」を紹介する番組を作る予定だったものを、いっそドラマ仕立てでと企画変更されたものだったという。残念ながらリアル・タイムで聴いていなかったのであまり印象には残っていないが(翌日か翌々日だったかに録音テープで聴いている)、音楽劇としての「交響組曲」を活かす上で、音だけのラジオドラマという発想は良かったようにと思う。おそらく映像作品を編集しそれに「交響組曲」をかぶせたものを最初に見せられていたら、拒絶反応の方が強く出たであろうから。
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