「砦なき者」
投稿日 | : 2008/03/30 15:34 |
投稿者 | : 久保田r |
参照先 | : |
テレビ朝日開局45周年記念ドラマスペシャル
2004年4月2日(金)21:00〜放送
<スタッフ>
原作・脚本:野沢尚(「砦なき者」講談社文庫)
監督:鶴橋康夫
音楽:宇崎竜童「マリオネット」
制作統括:早河洋(テレビ朝日)
企画:岩永恵(テレビ朝日)、小橋智子(テレパック)
プロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)、田辺隆史(東北新社)
制作:テレビ朝日、東北新社
<キャスト>
役所広司/妻夫木聡/鈴木京香/内野聖陽/大杉蓮/六平直政/真木よう子/田山涼成/近藤芳正/塩見三省/本田博太郎/筒井真理子/もたいまさこ/岩松了/銀粉蝶、他
<ストーリー>
少女売春の元締めとされた女子高生がビジネスホテルで自殺した。その女子高生の恋人がテレビ報道を批判。世間の同情を集める。援助交際の特集番組のキャスターを務めた長坂は、責任を取って報道の世界から身を引く。だが、長坂の部下が女子高生の恋人の八尋について不審な点が多いことを突き止める。
Re: 「砦なき者」
投稿日 | : 2008/03/30 15:34 |
投稿者 | : 久保田r |
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演じる役柄を見事に自分のものとする役所広司さんの演技に引き込まれ、始めから終わりまで悲しみに近い不安な心境のまま見入った。役所広司さんと敵対関係に当たる役を妻夫木聡さんが演じ、年齢的な対比と生き様の対比を浮き彫りにし、捉えどころのない今どきの青年をクールに演じていた。
ストーリーの内容については、テレビの向こう側とこちら側、報道する側とされる側、伝える側と見る側というメディアの在り方とそのメディアを見て育った世代について深いところを描いていて、色々と考えさせられる部分が多かった。ドラマは、ドキュメンタリーの要素とミステリーとサスペンスが入り交じった奥の深い展開となっていた。
キャストについては、全員が役柄とぴったりと合っていたとは感じられないが、テレビ局の人間の冷酷な部分やオーバーな表現などはよく演じられていたと思う。また、妻夫木聡さんや真木よう子さんは、内面で何を考えているか掴み難い今どきの若者像をよく演じていたと思う。単純な見方をすると、若者 vs 年長者なのだが、若者は年長者が作り上げてきた社会で育った世代なので、その核心部分に視点を転ずると、これまでの日本を支えてきた年長者の責任といったものが見えてくる内容となっている。
八尋は、長坂をターゲットとし、若者達のカリスマ的存在となり若者達を操ることで自分の周囲に砦を築いた。長坂は、八尋により砦を破壊されたかに見えたが、元々砦の中にいる人間ではなかった。八尋は、砦の中で長坂という砦なき者により全てを暴かれた。
観賞後、予想以上に心理的ダメージを受けたドラマ。