2012年4月12日　日本テレビ系列　夜9:00放送

＜出演＞
溝端淳平／忽那汐里／陣内孝則／土屋裕一／上野なつひ／松坂桃李／岡本玲／臼田あさみ／佐藤藍子／半海一晃／児島一哉／波岡一喜／ダンテ・カーヴァー／中村俊介／紺野まひる／小木茂光／井戸田潤／松山メアリ／西岡徳馬、他

編集

　2011年夏に深夜帯に放送されていた実写版「名探偵コナン」のドラマスペシャル版。メインキャストはそのままに、高校生探偵の工藤新一が初めて解決した事件と京都の撮影所で起きた事件を、西の高校生探偵・服部平次と共に解決するという二つの事件を展開。冒頭でアニメ版のコナンが登場し、アニメの映像を使用して工藤新一がコナンになった経緯をざっと説明し、「これは俺がコナンになる前のずっと前の話」というフリの後にドラマへ。

　剣道の試合でスカウトされ、時代劇の撮影をしている服部平次の撮影現場の見学に行くため、新一と蘭は、飛行機で京都へと向かった。機内のトイレで男性の死体が発見される。新一は得意の推理で容疑者を絞り込んでいき、乗り合わせていた佐藤警部補と高木巡査部長と共に捜査を展開。そして、遂に真犯人を突き止める。…これが新一が初めて解決した事件であり、京都に向かう飛行機の中で寝てしまった蘭が見た夢という形で紹介。

　京都の撮影現場に到着すると、主演俳優の桜庭と元恋人の文子と主演女優の桃香の三角関係のもつれが現場内に不穏な空気を作っていた。そして、桜庭演じる坂本龍馬と平次演じる沖田総司の殺陣のシーンの最中に粉塵爆発が起こり、桜庭は顔に軽度の火傷を負い、平次は重体となり病院へと搬送された。その爆発事故の後、主演女優の桃香が控え室で首を吊って死ぬ。京都府警の犬飼は自殺と断定するが、新一は他殺と推理。一連の謎を解くため新一は撮影所内で証拠を捜し続け、文子の協力を得て真犯人をいぶり出す。

　スペシャルというだけあって俳優と女優はもちろんのこと芸人までが出演し、なかなかに豪勢なキャストとなっていて視覚的に楽しいドラマだった。工藤新一役の溝端淳平さんは難しい単語の多い台詞をこなし、名探偵らしい振る舞いで良かったし、その一方で蘭との二人のシーンでは恋愛に対して奥手な感じが表れており、探偵としての顔と素の高校生としての顔がきちんと演じられていて良かったと思う。

　とはいえ溝端さんは年齢的にまだ若い役者さんで、脇を固める陣内孝則さんや西岡徳馬さんの年季の入った巧みな演技が全体を支え上げており、ユニークなキャラクターを演じる両者の芝居が軽快ながらも推理ドラマとして張りのあるものとし、全体のテンポの良さと相俟って退屈感の無い内容に仕上がっていたと思う。

　色んな俳優さんが単発出演するというパターンならば、今後も続編可能な実写版ドラマかも知れない。ラストには、平次の「今度はこっちから東京に殴り込んだるわ」という台詞があったので、もしかすると続編があるかも知れない。ただし、芸人さんを多く投入し過ぎるとバラエティ番組のコント・ドラマみたいになってしまう可能性も無きにしも非ずなので（シリーズ化すると得てしてそういう事がある）、もし続編を作るならばキャスティングには適度なバランスを取っていただきたいところ。

編集