「T−REXは強かったのか/巨大肉食恐竜の謎」
投稿日 | : 2003/05/07 21:58 |
投稿者 | : Excalibur |
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ティラノサウルスというと凶暴な肉食恐竜で、他の生物を襲う残忍な殺戮者というイメージが一般的だが、はたして本当にそうなのか。古生物学者ジャック・ホーナーが、残された化石から導き出した仮説は従来のイメージとは大きくかけ離れたものだった。
まず、短すぎる前足はほとんど役に立たず、なんと転倒した際には自力で起き上がることも叶わなかったという。また後足の構造からして走るのが遅いか、もしくは単に歩き回るだけ。さらに視力があまり良くなく、その代りに嗅覚が発達している云々。つまり”肉食動物”というよりも、”腐食肉動物”の特徴を多く備えているといえる。T−REXは獰猛なハンターではなく、巨大な死肉漁りだったというのがホーナーの仮説なのである。これはさすがにガッカリでイメージダウンも甚だしい。実際、このホーナーの説には異議を唱える研究者も多いという。ただ現段階では”肉食動物”であるという物的証拠は何もなく、”腐食肉動物”の可能性が高いというのならば、いつまでも幻想にしがみつくのではなく、より科学的に実像に迫ろうとする姿勢は当然のこと。夢はあくまでも夢、なのだから。
実際の発掘現場で、あるいはCGを交えて、押しつけがましくなく自説を語るホーナーの姿には好感を抱いた。ただ番組の構成上、発掘が終わり後の研究はこれから、という締めくくり方はちょっと肩透かしを食らった感がある。
プロデューサー・構成:ルービン・アーカンソン/ジェームズ・マッキラン
フィルムオアシス/DCI 2001年
”VALLEY OF THE T.REX”
2003.5.3 22:00〜22:50 BS1 「BSプライムタイム」にて