製作総指揮：ロバート・ハルミ
製作：ダイソン・ラヴェル
脚本：デヴィッド・スティーヴンス／ピーター・バーンズ
原案：エドワード・クマーラ
音楽：トレヴァー・ジョーンズ
監督：スティーヴ・バロン
　
サム・ニール／ヘレナ・ボナム＝カーター／ジョン・ギールグッド
ルトガー・ハウアー／ジェームズ・アール・ジョーンズ／ミランダ・リチャードソン
イザベラ・ロッセリーニ／マーティン・ショート／ビリー・ホワイトロー

1998年

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ホールマーク社が製作したＴＶミニシリーズで、元々は３時間だか４時間だかある作品を２時間に短縮再構成した一本。原題は”ＭＥＲＬＩＮ”で、その名の通り主人公は魔法使いのマーリン。これはマーリンの目を通して描かれた珍しいタイプのアーサー王伝説なのである。
マーリンにサム・ニール、恋人ニムエにイザベラ・ロッセリーニ、女王マブにミランダ・リチャードソン、その使い魔にマーティン・ショート、モルガン・ル・フェイにヘレナ・ボナム・カーター、その他ルドガー・ハウアーやジョン・ギールグッド、ジェームズ・アール・ジョーンズらが顔見せ出演（ジェームズ・アール・ジョーンズは声のみ）、とキャストは結構豪華な顔触れ（肝心のアーサー、グィネビア、ランスロット、ウーサー、イグレーン、モルドレッド、ガウェインらお馴染みの面々は無名の役者ばかりだが）。そしてクリーチャーやＣＧも色々手が込んでいるのだが、何故か全体に安っぽい仕上りなのが勿体無い。中途半端にコミカルな演出を施してるのもマイナスで、対象となる年齢層が絞り込めなかった弊害だろうか。
まぁ、それにしても展開が忙しない。
キリスト教世界の侵攻に対抗するべく、精霊界の女王マブは人間の気持を自分たちに向わせるべく魔法使いのマーリンを誕生させたものの、生みの親と育ての親を殺されたマーリンはマブと訣別。マブと手を組んだ暴君ボーディガンを倒しウーサーを王位に就けるが、期待に背くと今度はその息子アーサーを盛りたてて、という具合。これに湖の女王から聖剣エクスカリバーを授かる挿話と、アーサーがエクスカリバーを手にするエピソード、アーサーとグィネビアとの結婚、聖杯の探索、ランスロットとグィネビアの不義、アーサーと実姉モルガンとの間に生まれたモルドレッドとの最後の対決、と主だったお話は全て詰め込んだのだから目まぐるしい。しかもこれらはあくまで彩りであり、本筋はマーリンとニムエとの恋愛ドラマ、そして何よりもマーリンとマブとの対決なのだから、これではある程度原典を知らないと物語についていけないだろう。全長版を見ても納得行く出来映えなのかどうかは疑問だが。
ということでかなり期待外れの一本。殊に熱心なアーサー王伝説ファンにはお薦めしかねる内容である。ただサム・ニールのファンならば一見の価値あり、と申し上げておこう。
ちなみに音楽担当のトレバー・ジョーンズは、かつてジョン・ブアマン監督作品の『エクスカリバー』でも音楽を手掛けており、アーサー王伝説に挑むのはこれが二回目となる。

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