2010年7月21日　ポニーキャニオン

　チバテレビにて毎週土曜日25:30〜25:45放送中の”声優クッキング・バラエティ”「魅惑のクッキング＆トーク番組　アニメ星人〜ときめきレシピ〜」の最初のDVD。この番組は、青二プロ所属の声優たちが出題されるキャラになりきりながら料理をするというもの。

　当DVDに出演している声優は、メインが置鮎龍太郎さんと緑川光さん。助っ人に野島健児さんと三浦祥朗さん。計4人の声優が、工程ごとに一人ずつ担当し、その度に出題されるキャラになりきりながら料理をしていく。今回作る料理は、「あさりとトマトのジェノベーゼパスタ」と「豚とキャベツの温野菜サラダ」と「バナナフランベホットチョコレートがけ」の3品。料理の工程を担当する順番とキャラの出題は、番組任せとなっており、そのため各声優ともあらかじめキャラを作って来ていないので、即興で演じる様子を見ることができる内容となっている。

　4人の声優がそれぞれにどれくらいの料理の腕前なのか知らないし、一人一品ではなく、一つの料理を交替して作るという工程になっているので、一体どんな出来映えの料理になるのかドキドキもので鑑賞した。本職が声優のため、もともと料理がそれほど上手でなくていいわけなのだから、4人が交替して作っているだけでもあたふたとして面白そうなのだけど、出題されたキャラになりきるというところが、本職が声優ゆえの高いハードルになっているかと。この出題されるキャラとは、各声優の持ちキャラの名前が具体的に出るのではなくて、「ツンデレ　松・竹・梅」とか「武将」とか「大阪弁」とか「お兄ちゃん」とか「先生」とか「チョイ悪男」とか「執事」といったテイストで出題される形式。唯一、具体的だったのは緑川さんに出題された「心を閉ざした少年兵」。あの有名な「任務失敗」「任務完了」といった台詞を聞くことができる。そして緑川さんは、ツンデレキャラがやけに上手い。

　3品の料理を作った後は、4人で試食タイム。実際に自分たちが作ったものでは量が足りないということで、色々と手を加えていただいたそうで、テーブルに並んでいる料理はどれも見栄えバッチリ＆美味しそう。そして試食した4人の感想は、どの料理もそれぞれに「美味しい」と言っていたので、先ずは食べれるものを作れて良かったねという、終わりよければすべてよしという締めくくりになっている。

　番組の企画に対して、緑川さんが「キャラになりきらなくてはならなかったのが苦痛だった」といったようなことを言っていたのが印象的だった。料理に自信がないため、作ることに集中したいのにキャラを演じなければならないことが苦痛だったよう。対して三浦祥朗さんは、「キャラになりきる方が面白くできてよかった」と言っていたのも印象的で、先輩・後輩にあたる両者の個性の違いが感じられるトークとなっていて楽しかった。料理中、野島健児さんがモノマネをいつくか披露していて、どれも楽しかったのだけれど『ガンダム』のアムロのモノマネは、しっかりと似ていた。後、野島さんは、バナナにふりかけたラム酒のアルコールを飛ばす技、フランベをした時は、料理人ぽくて格好よかった。

　観賞後の感想としては、文字通り”声優クッキング・バラエティ”になっており、確かに面白くて楽しかったのだけれど、今や声優はタレント並のバラエティ能力を必要とされ、それを表に出す時代に移り変わって来ているのだな、ということをつくづくと感じた内容だった。時代と共に声優と俳優のボーダーが薄れつつある昨今だが、声の演技のみに徹する”職人”に憧れを抱いている自分としては、テレビカメラの前でタレント化する声優の姿を見るのは、楽しい反面複雑な気分。もちろん活躍の場が広がるのは喜ばしいことではあるのだけれど、今後の舵取りしだいでは、タレント性重視になっていくのでは…と思うところもあり、声優業界のこれからの動向が気になるところ。

　ヴァーチャル特典映像として、4人が一人ずつ”二人だけの食卓”をイメージして芝居をしている映像が収録されている。緑川さんは「病気の彼女におかゆを作る」、置鮎さんは「仕事帰りのサラリーマン」、野島さんは「仕事で疲れて帰って来る彼女に料理を作る」、三浦さんは「付き合い始めたばかりの初々しいカップル」というシチュエーション。これは、台本が用意されてあったのかどうかは分からないけれど、見ている自分だけに向かって語りかけているようでとても照れくさい。緑川さんのは新婚さんという設定のよう。野島さんは「ラーメン、つけ麺、ぼくパスタ！」というどこかで聴いたことのあるフレーズをちょっとだけアレンジし、そしてオリジナル同様にすべっているのが楽しかった。この特典映像は、私の年齢では恥ずかし過ぎてとてもじゃないが直視できなかったので少しずつだけ見て終わりにさせてもらった。ごめんなさい。でも各声優ファンの方には、楽しめる特典映像だと思う。

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