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「舞台 銀河英雄伝説/外伝 オーベルシュタイン編」
投稿日 : 2013/01/07 16:46
投稿者 久保田r
参照先
2012年2月24日 エイベックス・マーケティング

公演:2011年11月4日〜9日 さくらホール

アフタートーク収録:田中芳樹、貴水博之

<スタッフ>
原作:田中芳樹「銀河英雄伝説」シリーズ
脚本:河中志摩夫
舞台監督:山矢源
演出:大岩美智子
音楽:三枝成彰
音楽監督:大平太一
音響:小幡亨
パフォーマンスディレクター:津川昌平
美術:たにがきいくこ
照明:柏倉淳一
映像:michi[PMAJ]/アイボーイ
製作デスク:金澤真央子
総合監修:田原正利
プロデューサー:多賀英典
企画:キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
製作:舞台「銀河英雄伝説」実行委員会

<出演>
貴水博之/増沢望/岸祐二/伊藤哲哉/陰山泰/崎本大海/松村泰一郎/船戸慎士/須加緒由二/我善導/高山猛久/中村哲人/岡本龍太郎/澤田怜央/畑敦/今井久美子/八鍬慶子/市川円香、他
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Re: 「舞台 銀河英雄伝説/外伝 オーベルシュタイン編」
投稿日 : 2013/01/07 16:48
投稿者 久保田r
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 「舞台 銀河英雄伝説」の三作目となる「外伝 オーベルシュタイン編」。オーベルシュタインとは、ラインハルトの参謀となる人物で、生まれつき目が見えず常に義眼を着用。性格は、冷徹にして冷酷。ラインハルト陣営に於いて嫌われ者と称されているが、家では一匹の老いた犬(ダルメシアン)を飼っており、夜中に自ら犬の食べる鶏肉を買いに行く一面も持ち合わせている。そのオーベルシュタインの半生を描いている舞台作品。

 舞台のストーリーは、オーベルシュタイン家の執事の語りによって始まる。オーベルシュタインが何故犬を飼うことになったのかという経緯を語り始めるという切り出しで、過去を振り返るという構成。とある日オーベルシュタインに密命が下される。非公式にラインハルトの身辺調査をせよという命令であり、オーベルシュタイン家には代々そういった非公式の活動をする「ハウンド」と呼ばれる者たちがおり、その者たちを使って調査せよという命令であった。「ハウンド」を取り仕切っているのは、オーベルシュタインの腹違いの兄のシュテファン・ノイマン。父が平民の使用人に産ませた子であった。ノイマンは、幼い頃からオーベルシュタインの支えとなるよう育てられ、オーベルシュタイン家の裏の組織を引き継いだ。劣悪遺伝子排除法を作ったルドルフを憎むオーベルシュタインは、ノイマンの調査からラインハルトの真の野心を知り、ラインハルトを使って帝国を崩壊させ理想とする新しい国を作ることを決意する。オーベルシュタインの考えを知ったノイマンは頑なに反対。そして、前線基地であるイゼルローン要塞で二人は対峙する。

 オーベルシュタインの過去を描いており、ストーリーは原作にもアニメにも登場しない舞台オリジナルのもの。舞台オリジナルのストーリーという点では、前作の「ミッターマイヤー・ロイエンタール編」でも展開されていたが、それは前半の二人の出会いの部分のみで後半は原作に沿った進行であったので、ストーリー進行のほとんどを舞台オリジナルのストーリーにて構成するという点では、今作が初。舞台の脚本がアニメシリーズの構成を手掛けた河中志摩夫さんであったからこそ可能であった試みだったと思う。

 オーベルシュタインというキャラクターは、原作でもアニメでもおよそ人間らしい感情の見受けられない冷徹な人物であったため、どこか家族構成や過去などのプライベートに関することの想像が憚れるような存在であったので、今回の半生を描いた舞台オリジナルのストーリーは、正直なところかなりの驚きと微妙な気分の両方を味わった。この舞台オリジナルのストーリーが本当であるかどうかの判断は見た人に委ねるという結びになっているが、原作のそこかしこに散らばっているオーベルシュタインの人となりの表現から得られるイメージと、今作の舞台から伝わって来るイメージとの間に大きな違和感や差といったものを感じなかったので、当舞台のオリジナルストーリーは、キャラクターのイメージに沿ってよく練られた構成であると感じた。「オーベルシュタイン」と「犬」をキーワードに、性格が形成された経緯を説得力を持って綴っており、且つ納得のいく内容に仕上がっていたと思う。

 友情出演として出演したキルヒアイス役の崎本大海さんの存在が、舞台に厚みを付けていて良かった。ラインハルト役の松坂桃李さんの出演シーンは、オーベルシュタインの目に映る姿として映像出演となっていたが、それを補う形として崎本大海さんが出演され、映像と舞台との間に生じる距離の差を芝居を通して埋めていたので、少ない出演シーンながらもしっかりと意味と役割のある登場で良かった。

 舞台オリジナルのストーリーの終わりは、切ない。オーベルシュタインの冷徹な顔に隠されたこの過去を知ったら、あのビッテンフェルトでさえ歩み寄るようになるのではないかと思えるほどに切ないストーリーとなっている。しかし、いくら切ないという言葉を積み重ねても涙を誘うような感傷さがないところがオーベルシュタインたるところ。新しい国を作るためにラインハルトを欲したオーベルシュタインの断固たる決意が込められている。
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