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「銀河英雄伝説」
投稿日 : 2001/09/14 23:34
投稿者 久保田r
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原作:田中芳樹

宇宙歴796年、帝国歴487年の初頭。帝国軍2万隻。自由惑星同盟軍4万隻。場所アスターテ。ここから二人の英雄の物語が始まる───。

〈主な登場人物〉
★ 銀河帝国‥‥‥ラインハルト:堀川亮、キルヒアイス:広中雅志、アンネローゼ:藩恵子、ミッターマイヤー:森功至、オーベルシュタイン:塩沢兼人、ビッテンフェルト:野田圭一、ミュラー:水島裕、ケスラー:池田秀一、ヒルダ:勝生真沙子、他山ほど
★ 自由惑星‥‥‥ヤン:富山敬、ユリアン:佐々木望、フレデリカ:榊原良子、シェーンコップ:羽佐間道夫、キャゼルヌ:キートン山田、ムライ:青野武、アッテンボロー:井上和彦、ジェシカ:小山茉美、コーネフ:鈴置洋孝、ポプラン:古川登志夫、他山ほど
★ フェザーン‥‥‥ルビンスキー:小林清志、ルパート:鈴置洋孝、ボルテック:仁内建之、ドミニク:平野文、他地球教など
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第26話 「さらば、遠き日」
投稿日 : 2002/06/15 23:26
投稿者 久保田r
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 第1期終了の回。良心をそのまま形にしたような、誰からも愛されるべき存在であったキルヒアイスの死亡がある回です。このことがあるが故に、第1期の終了として、他のどの期の終了よりも強烈にはっきりと印象づける回となっています。
 とにかく、辛過ぎて涙なくしては見れません。もう他に何の言い様もありません。大量出血で意識が薄れ、瞳がくるりと動く動きと広中雅志さんの演技が相俟って、死に向ってゆくキルヒアイスが切なくて、辛くて、悲しくて、悔しくて、いつ見ても涙が滝のように流れて来ます。だから見たくない。だから見なくてはいけない。『銀英伝』を語る上で、避けては通ることが出来ない、踏み絵のような回です。


<あらすじ>
 アンスバッハの構えたハンド・キャノンから放たれた銃弾は、ラインハルトの横を掠め過ぎ、後背の壁を打ち砕いた。狙いが外れた銃弾を不思議に思ったラインハルトは、自分の盾となったオーベルシュタインの脇から前方を見て驚愕する。キルヒアイスがアンスバッハに掴みかかっていた。
 揉み合い、ハンド・キャノンを床に落としたアンスバッハは、キルヒアイスの胸元で指輪に仕掛けたレーザー銃を発射。キルヒアイスは、左胸から背中へレーザー銃の貫通を受けながらもアンスバッハを掴む手を緩めない。そして、二度目のレーザーが喉をかっ切った時、遂にキルヒアイスは床に崩れ落ちた。
 周りにいた提督達がアンスバッハを取り押さえる。アンスバッハは、呪詛の言葉を並べ立て、歯に仕込んでいた毒を飲んで死亡する。後には、死に際したキルヒアイスが残された。
「アンネローゼ様にお伝え下さい。ジークは、昔の誓いを守ったと・・・」
 ジークフリード・キルヒアイス、享年21歳。
「かわいそうなラインハルト・・・」
 FTLでアンネローゼと再会したラインハルトは、アンネローゼの最初の一言で己の罪を深く自覚する。そして、「わたしたちはおたがいの他に、もうなにも持たなくなってしまった・・・」の呟きにアンネローゼのキルヒアイスに対する愛に気付く。
 胸の飢えと渇きを埋める何かを求めて前進を続けることを決意するラインハルト。時に宇宙歴797年、帝国歴488年。
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第25話 「運命の前日」
投稿日 : 2002/05/24 23:09
投稿者 久保田r
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 次回に向けての大きな伏線引きの回。ラインハルトとキルヒアイスの関係。アンネローゼへの思慕。オーベルシュタインの影響力。公明正大なミッターマイヤーの意見。微妙な力関係に明敏に反応するロイエンタールの猛禽性。次回の取り返しのつかない大きな事件に向けての各主要キャラへの心理的伏線が、全編に渡って引かれています。ラインハルトとキルヒアイスの一件を”噂”と処分したいミッターマイヤーのカードゲームの最中の会話として織り交ぜる心配りや、そういう時の会話こそ拾えるものがあると敏感に反応するロイエンタールの二人の大人の会話が見所。


<あらすじ>
 ガイエスブルク要塞に入港したキルヒアイスを、これまでと変わらぬ親しい態度で迎えるラインハルト。キルヒアイスは、多少の戸惑いの表情を見せながら握手を交わす。
 別室でラインハルトと二人きりになったキルヒアイスは、ヴェスターラントの件を問いただす。ラインハルトは、嘘をつけず「そうだ」と肯定する。悪い予感が的中したキルヒアイスは、激しくラインハルトに己の意見を述べるが、ラインハルトに「お前は一体俺の何だ!」と言い返され、黙する。
 首都オーディンにてリヒテンラーデが不穏な動きを見せているという連絡を受けたラインハルトは、オーベルシュタインに戦勝祝賀の式典が終わり次第オーディンに急行するよう命じる。
 その頃、ラインハルトとキルヒアイスが”やりあったらしい”という噂を聞いたミッターマイヤーは、カードゲームの際の会話の中で、ロイエンタールに意見を求める。
 翌日、戦勝祝賀の式典の会場に入ろうとしたキルヒアイスは、会場警備兵より「一切の銃の携帯を禁ずる」という指摘を受け、銃を警備兵に渡す。
 捕虜との引見が始まり、ファーレンハイトは、ラインハルトからの許しを得て、以後ラインハルトに忠誠を尽すことを約束する。
 続いては、ブラウンシュバイクの遺体と共に現れたアンスバッハ。仲違いをしたままのラインハルトとキルヒアイス。キルヒアイスの脳裏に在りし日の子供時代の思い出が、走馬灯のごとく蘇る。
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第24話 「誰がための勝利」
投稿日 : 2002/05/03 23:15
投稿者 久保田r
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 自由惑星同盟建国以来最大のクーデター終結の回。この回は、一見淡々と事が進んでいるように見えて、それは全てヤンの知略によって進んでいるという、ヤンの凄さを普通のことのようにさらっと見せている回でもあります。フレデリカの終始愁いを帯びた俯き加減の表情に胸が切なくなります。


<あらすじ>
 ヤンに各地の動乱を押さえられ、首都ハイネセンに孤立した救国軍事会議は、首都星を丸々守る防衛システム「アルテミスの首飾り」があるうちは、いかなヤン・ウェンリーといえども簡単には手を出せまい、という考えの元に徹底抗戦の構えを見せるが、バグダッシュの証言と、氷の塊を利用したミサイルのようなもので一個残らず「アルテミスの首飾り」を破壊されてしまい、完全な孤立無縁の状態へと陥る。バグダッシュの証言で今回のクーデターは、ローエングラム公によって仕組まれたことだと知ったグリーンヒルは、リンチを射殺しようとして、リンチに撃たれ死亡。リンチもまた、救国軍事会議のメンバーから撃たれ死亡。
 こうして、多くの人にとって失うもののみ大きかったクーデターは終結し、その間地球教教徒に身柄を匿われていたトリューニヒトは、今になって再び表舞台に登場。ヤンと握手をする。
 旗艦に戻ったヤンは、イゼルローンからのメルカッツ提督亡命の通信に慌てふためく。メルカッツを信じると断言したヤンは、メルカッツと彼の部下達を引き受けることを約束する。
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第23話 「黄金樹は倒れた」
投稿日 : 2002/04/27 23:15
投稿者 久保田r
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貴族連合軍滅亡の回。一気に大貴族どもが滅亡して行く展開は申し分のないのですが、ヴェスターラントの件を考えると、私の「ヤル気モード」が一気にトーンダウンするターニングポイントの回でもあります。オーベルシュタインの言うことも分かるのであります・・・。彼の言うことは本当に冷徹にして鋭利で、なるほどなと思うところもあるのですが、どうも心情的に釈然としませんで・・・。そこがまた彼にしかない持ち味で、彼らしいと思っているのですが、何となくもやもやとした不思議な気持ちになります・・・。
 この回の私の心情。「ああ…キルヒアイス…お前さえそばにいてくれたら…」(by.ラインハルト)


<あらすじ>
 ブラウンシュバイクの領地、惑星ヴェスターラントでは、反貴族連合の気運が高まった民衆達が、領地を支配していたブラウンシュバイクの甥を殺害。このことに激怒したブラウンシュバイクは、ヴェスターラントに熱核攻撃を加え、民衆200万人を虐殺する。
 ラインハルトは、この核攻撃を阻止しようと艦隊を派遣するが、オーベルシュタインの策により艦隊は間に合わず、その代わりに強行偵察機の捉えた映像を帝国全土に流すことで、結果的に民衆の強固な支持を得ることとなる。キルヒアイスは、シュタインメッツよりこのことを聞き、激しく動揺を示す。
 ヴェスターラントのことは貴族連合軍内部にも衝撃を与え、内部分裂を引き起こし、窮鼠と化したブランシュバイクは、残りの全艦隊を持ってラインハルト軍に最終決戦を挑むもあっけなく敗退。命からがらガイエスブルク要塞に逃げ込むが、重臣のアンスバッハより諭され、服毒自殺をする。
 もはや、ガイエスブルクに戻ることも出来なくなったメルカッツは、銃を頭に当てて自害しようと試みる。だが、副官のシュナイダーに説得され、ヤン・ウェンリーを頼って自由惑星同盟へ亡命することを決意する。
 宇宙歴797年、帝国歴488年9月。リップシュタット戦役終結。
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第22話 「勇気と忠誠」
投稿日 : 2002/04/19 23:17
投稿者 久保田r
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 ラインハルト軍諸提督方お目見えの回。今回は、戦闘が多く、戦闘能力の差からラインハルト軍が勝つのは目に見えていますので、ここは勝敗の行方よりも、各提督方の性格を反映した台詞と、見事な判断力と、ラインハルトの勝ち気な表情をぜひ楽しんでいただきたいです。
 離れているとはいえキルヒアイスが素晴らしい手腕で勝利を収め、ラインハルトの精神状態が良く、戦略的に何一つ失敗がなく、負け知らずの戦い続きで、真直ぐで強気な表情を拝めるのは、この頃が一番のピークでありますので、ラインハルトを好まない方もいらっしゃるとは思いますが、ここは一つ、曇りのない綺麗な蒼氷色の瞳と、高慢ちきな表情と、いっそ小気味なまでの毒舌をいやというほど楽しんで欲しいです。


<あらすじ>
 周辺星域の平定に務めていたキルヒアイスは、地球へ巡礼に行く一団を乗せたベリョースカ号と会う。キャプテンのボリス・コーネフから事情を聞いたキルヒアイスは、軍の物資を分け与え、気を付けて行くようにと送り出す。
 一方、シャンタウス星域でメルカッツと艦隊戦を繰り広げていたロイエンタールは、メルカッツの攻撃の巧妙さに手を焼き、シャンタウス星域を放棄し、ラインハルトに後のことを託す。
 ブラウンシュバイクと仲間割れをしたリッテンハイムは、キホイザー星域にてキルヒアイスと対面。キルヒアイスは、本隊として800隻を率い、これを凌駕。リッテンハイムは、逃走中に味方艦を撃ち、それが仇となって味方に殺される。
 シャンタウス星域で形式上の勝利に味をしめた貴族連合軍は、調子に乗って、盟主ブラウンシュバイクを始めとする全艦隊でラインハルト軍に攻撃を開始。貴族軍の行動を予測していたラインハルト軍は、予め伏せておいた各艦隊を順次出撃させ、貴族軍を崩壊へと導く。しかし、もうすぐブラウンシュバイクを捕らえるという時メルカッツが現れ、ブラウンシュバイクは何とか一命を取り留める。
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第21話 「ドーリア星域会戦そして・・・」
投稿日 : 2002/04/13 23:37
投稿者 久保田r
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 帝国で、貴族連合軍とラインハルト軍が帝国軍艦隊同士撃ち合っている頃、同盟でも、ヤン艦隊と第11艦隊が同盟軍艦隊同士の戦いを繰り広げることになります。第11艦隊の指揮官ルグランジュが滔々と「国家の為にその身を捧げよ」と、演説するのに対し、ヤンは「かかっているのは、たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば、大した価値のあるものじゃない」と、演説します。この両者の対比が興味深く、戦闘中の指揮振りの対比も見せ場となっています。
 そして、ついに訪れたジェシカの死・・・。ヤンが憧れていたジェシカの死は、やはり見ている側にも衝撃を与えます。ジェシカが倒れる際に流れた、ラップとジェシカとヤンの3人の記念写真が切なく、ジェシカの死を聞いた直後のヤンの俯いた顔にも胸が締め付けられます。戦争を好まない、という二人の意思は同じであったのに、結ばれることにならなかったヤンとジェシカ。永久の別れとなったこの回に涙です。


<あらすじ>
 ヤン艦隊を撃つべく首都星ハイネセンを出た第11艦隊は、戦闘の前にヤンを暗殺しようとバクダッシュ中佐をヤンの元に向わせる。だが、その目論見に気付いたシェーンコップは、バクダッシュをメモリを冷凍睡眠モードにしたタンクベッドに眠らせ、暗殺を阻止する。ヤンの暗殺に失敗した第11艦隊は、やむを得ずヤン艦隊との戦闘に突入し、再三の降伏勧告にも応じず、最後は、全滅の道を選ぶ。
 一方ハイネセンでは、「暴力による支配に反対し、平和と自由を回復する市民集会」がハイネセンスタジアムで開かれ、20万人もの市民が集まる。主催者は、ジェシカ。救国軍事会議は、集会を止めさせようと軍隊を率いてスタジアムに乗り込むが、20万人もの市民の前でジェシカから手痛い批判を浴びせられたクリスチアン大佐は、ジェシカに暴行を加えてしまう。それを見ていた市民は、周りの兵に飛びかかり、大規模な暴動へと発展する。
 2万人の市民の虐殺。そのニュースを旗艦の指揮官室で聞いたヤンは、声を失くす。そして、主催者であったジェシカの死を聞き、静かに頭を俯かせた。
 宇宙歴797年7月末、ヤン艦隊は、首都ハイネセンへと進路を向けた。
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第20話 「流血の宇宙」
投稿日 : 2001/12/07 23:32
投稿者 久保田r
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いよいよ戦火が上がったリップシュタット戦役。今回は、後に帝国の双璧と呼ばれることになるロイエンタールとミッターマイヤーの活躍の回です。
利己主義の塊でまとまりのない貴族連合軍に対し、ラインハルト軍は行き届いた統率で整然と作戦を遂行します。元より始めから戦闘能力に差があり過ぎるこの戦いは、勝利の行方は二の次として、ラインハルト軍の提督達の活躍を見ることが出来る戦いです。先ずは、ロイエンタールとミッターマイヤー。流石です。

第20話「流血の宇宙」
メルカッツは「兵力を分散させずにガイエイスブルクまで引き寄せ、一気に叩くべし」と作戦を述べますが、シュターデンが口を挟みます。「大規模な別働隊を組織し、ガイエスブルクに引き付けておく一方でオーディンへ向い、皇帝を擁し奉るのだ」と。メルカッツはラインハルトがオーディンを空にしている理由が分かるだけに苦い顔をしますが、その作戦に感嘆したランズベルクが余計な一言を言います「で?誰がその別働隊の指揮を取るのです?大変な栄誉と責任ですが」
言い出したシュターデンが、その別働隊を率いてガイエスブルクを出発します。ラインハルトから命を受けたミッターマイヤーは600万機の機雷原を敷き、シュターデンと睨み合いに入ります。待つこと3日。痺れを切らしたシュターデンの艦隊は、二手に別れてミッターマイヤー艦隊に攻撃を開始します。その機を待っていたミッターマイヤーは、迅速に移動。一方の敵の横を撃ち、続いてもう一方の敵の後背を撃ち、勝利。破れたシュターデンはレンテンベルク要塞へと逃げ込みます。
レンテンベルク要塞を制圧するには、中心部の核融合炉を奪取するのが最も有効である、と説明を受けたラインハルトは、陸戦の勇者としても名を馳せているミッターマイヤーとロイエンタールに第6通路から進入し、オフレッサーを倒せ、と、命じます。
装甲擲弾兵総監のオフレッサーは、ロイエンタール曰く「人を殴り殺す為に生まれて来たような男」で、第6通路に立ちはだかって次々と進入して来る兵士達を殺していきます。8回以上に及ぶ突入の末、ようやくオフレッサーを捕える為の罠が完成します。猛獣を罠に誘き寄せる為の餌として、ロイエンタールとミッターマイヤーが出撃。この二人から挑発を受けたオフレッサーは、猛然と二人に襲いかかります。が、走り出したその途中で落とし穴に落ちます。
多数の部下を殺されたロイエンタールとミッターマイヤーは、オフレッサーを処刑するように希望しますが、オーベルシュタインが「このまま貴族どもに帰すのが一番の得策」と譲りません。ラインハルトはそれを許可し、オフレッサーは無傷のままガイエスブルクに帰されます。
ガイエスブルクでは、銃を構えてオフレッサーを待ち構えます。ただならぬ雰囲気を感じながらブラウンシュバイクの前に出たオフレッサーは「裏切り者!」と怒声を浴びせられます。「無傷のまま生きて帰って来られたのは、金髪の孺子に魂を売り渡したからであろう!」と嫌疑をかけられ、オフレッサーは動揺します。説明しようとブラウンシュバイクに近付きますが、恐れたブラウンシュバイクは射殺を命令。オフレッサーは味方の手によって殺されます。
金髪の孺子嫌いの急先鋒であったオフレッサーの死は、衝撃を持って伝えられ、貴族達の心に不安と猜疑の芽を芽生えさせた。
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第19話 「ヤン艦隊出動」
投稿日 : 2001/12/02 23:38
投稿者 久保田r
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淡々と進んでいるように見えて、その奥のことを考えると、辛い気持ちになる話です。自然発生によるものではなく、起こるべくして起こさせられたクーデター。同盟内部に元々政治の腐敗を快く思っていない者がいたとはいえ、その代表がグリーンヒルというのは、彼の実直さと真面目さとそこから来るロマンチシズムさに辛い気持ちになります。
シェーンコップの言った台詞「あなたは矛盾の塊だ」。シェーンコップの言うことは、ヤンを認める誰もが思うことの代弁だと感じました。
こういう回だからこそ、 絵と構図が良く、丁寧に見せています。

第19話「ヤン艦隊出動」
ラインハルトは、自らは貴族連合との戦いに専念するため、その他の星域の平定をキルヒアイスに委ねます。「一つ気になることが」と言うキルヒアイスに、ラインハルトは「心配ない。そろそろ例の手が効を奏する頃だ」と、言います。
『例の手が効を奏する頃』───。舞台は、自由惑星へ。
統合作戦本部長のクルブスリーは、アムリッツァの戦いで病気で倒れたアンドリュー・フォークに呼び止められます。「閣下のお力でぜひ私を現場復帰させて下さい」と頼み込むフォーク。クルブスリーは「出直してきたまえ!」とフォークを退けようとします。が、フォークは、敵意を込めた瞳を光らせると、懐から銃を出してクルブスリーの腹部を撃ちます。取り押さえられながら、ぶつぶつと何かを唱えるフォーク。
宇宙歴797年3月30日、クルブスリー統合作戦本部長暗殺未遂事件発生。この事件が引き金となり、同盟内各所で叛乱が発生します。
こうなることをヤンから事前に聞かされていたビュコックは、「ハイネセンで起こるクーデターだけは未然に防がねば」と言いますが、事態は更に・・・。
イゼルローンの宇宙港にキャゼルヌ一家が降り立ちます。ヤンの部屋でユリアンとキャゼルヌと会話を交わしているところへ、ハイネセンからホットラインが入ります。
早速幹部が集められ、会議が。撃たれたクルブスリーの代行のドーソンから、4箇所すべての叛乱を鎮圧するよう命じられた、とヤンは皆にその旨を伝えます。その最中、首都ハイネセンでクーデター発生の報が飛び込みます。宇宙歴797年4月13日。
画面に現れた『救国軍事会議』の声明を非好意的に聞くヤン。布告の読み上げが終わり「それでは、市民並びに同盟軍諸氏に救国軍事会議の議長を紹介する」と言って入れ違った人物に、フレデリカは驚きの声を上げて立ち上がります。議長と紹介され、画面に現れたのは、フレデリカの父だったのです。
ヤンは、フレデリカを部屋に呼び寄せて、今後も副官として勤めるように言います。任を解かれると思っていたフレデリカは、感謝に涙を浮かべます。
そして、ヤン艦隊は、正式にその名を与えられてから初めて出動します。目的地は、皮肉にも同盟首都ハイネセン。これに対し、救国軍事会議はヤン艦隊を撃つべく第11艦隊を出動させます。
宇宙歴797年4月20日。建国から270年、国家を二分する初めての内戦はこうして始まりました。
墓地で一つの墓の前に花束を置く、グリーンヒル。「あの子は分かってはくれんかな。母さん」父の呟きが雨に消える・・・。
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第18話 「リップシュタットの密約」
投稿日 : 2001/11/25 23:40
投稿者 久保田r
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いよいよ始まったリップシュタット戦役。この戦いは、同盟軍との争いではなく、一つの国家間の中での内戦となります。この内戦は帝国を二分する大きな戦いで、これまでラインハルトが受けて来た数々の小競り合いの枠を遥かに超えており、それらに決着を付ける戦いであります。私怨に取り付かれたブラウンシュバイクとリッテンハイムに対し、ラインハルトは皇帝からの勅命を受けての正々堂々とした戦い。自ずと勝利は目に見えてますが、勝利と胸を張って言うには辛い出来事が待ち受けているのです・・・。

第18話「リップシュタットの密約」
オーディンへ向かう向かう宇宙船の中で、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフは父との会話を思い出します。中立の立場を望む父に、ヒルダははっきりと「この戦いはローエングラム侯が勝つ」と宣言し、ローエングラム侯につくべきだと父を説得します。冷静にラインハルトが勝つ理由を挙げたヒルダに、父は家運をヒルダに任せると約束します。「お前が思うようにやりなさい」という父の言葉に感謝するヒルダ。「そして面白い時代に私を生んで下さって」と、呟きます。
オーディンに着いたヒルダは、早速ラインハルトの元帥府へと向かいます。そしてラインハルトが言い出す前に「今度の内戦に対して、マリーンドルフ家はローエングラム侯にお味方させていただきます」と切り出します。ラインハルトは「私が勝つとは限らないがそれでも?」と、ヒルダの意志を確かめるように尋ねます。ヒルダは、きっぱりと父に言った時と同じように「この戦いは閣下がお勝ちになります」と、言います。ヒルダの見識を聞いたラインハルトは、マリーンドルフ家を守るという公文書を作ることを約束します。そこへ、オーベルシュタインが入室します「不平貴族どもがとうとう動き出しました」。
集まった幹部を前にオーベルシュタインが報告をします。「リップシュタットに集まった貴族の数3760名。正規軍と私兵を集めた数2560万。その司令官にウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ提督」メルカッツの名にどよめくラインハルト陣営。
ブラウンシュバイクの家で、メルカッツがブラウンシュバイクに向かって「断る」と意志表明をします。「帝室に弓を引くがごとき所業は出来ない」と、固辞するメルカッツ。頑固なメルカッツに業を煮やしたブラウンシュバイクは、メルカッツの娘の命を盾に取り、司令官職を引き受けさせます。帰路、メルカッツは車を自宅へ向けるよう頼みます「別れを済ませておきたいのだ」。暗い顔をして俯くメルカッツ。
ブラウンシュバイクに、フェルナーとシュトライトが、ラインハルトと戦うのではなく暗殺するよう進言します。だがブラウンシュバイクは、正面からラインハルトを破ってこそ意味があるとして二人を退けます。退けられたフェルナーは、一人で兵を集めてラインハルトとアンネローゼが住む屋敷へと向かいます。ですが、シュワルツェンの屋敷では既に厳重な警備が敷かれていて、フェルナーの暗殺計画は屋敷に一歩も足を踏み入れることなく失敗に終わります。
この動きがきっかけで帝国内が動きます。ブラウンシュバイクを始めとする貴族達はオーディンを脱出。自分達の拠点としてガイエスブルク要塞を選び、そこに集結します。
これによりラインハルトは帝国三長官を兼任し最高司令官となり、リップシュタット連合軍討伐の勅命を受けます。
宇宙歴797年帝国歴488年4月6日。帝国を二分する内乱がついに勃発。だがそれは、ある悲劇の始まりであった・・・。
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第17話 「嵐の前」
投稿日 : 2001/11/20 23:32
投稿者 久保田r
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前の回ではまだアムリッツァでの戦闘シーンが入っていましたが、今回はもうすでにその影はなく、次なる戦いの「嵐の前」を表しています。
この回は、ヤンとキルヒアイスが公式の場で会う、という名シーンのある回です。ヤンとキルヒアイスの和やかな会話は、敵同士とは思えない穏やかさです。両者ならではの名シーンです。
絵が丁寧に描写されています。影の動き、人物絵の角度等、申し分ない綺麗さです。

第17話「嵐の前」
前皇帝の病死の後、新たな皇帝にエルウィン・ヨーゼフが即位したことで、ラインハルトと門閥貴族達との間に剣呑な空気が漂います。これを機に門閥貴族達との決着を図るラインハルトは、自分が帝国内を平定するまでの間、自由惑星同盟が帝国に対して何らかの行動を起こさないように、同盟軍内部にクーデターを起こさせることを計画します。そのクーデターの首謀者として目を付けられたのが、かつてエル・ファシルで民間人を見捨てて逃げ出した指揮官、アーサー・リンチです。
酒に溺れるリンチに向かってラインハルトは言います「成功したら帝国軍少将の位をくれてやる」。失敗すれば殺されると怯えるリンチですが、「まだ命が惜しいか」と言われ、「ならば徹底的に恥知らずに生きてやる」とクーデターの計画書を受け取ります。
ラインハルトの名での捕虜交換の打診が同盟軍に入ります。ヤンは、ラインハルトが工作員を潜らせて来る可能性がある、と自分の艦隊の幹部に話します。そして、ヤンの予想通り同盟政府は帝国の提案を受け入れます。
捕虜交換の調印式の為にイゼルローンへ入港する旗艦バルバロッサ。キルヒアイスは、帝国の代表としてヤンと会います。「形式とは必要かも知れませんが、ばかばかしいことでもありますね。ヤン提督」「同感です」和やかに会話を交わすヤンとキルヒアイス。
帰還兵の祝賀会に出席のために首都星ハイネセンにやって来たヤンは、パーティを途中で抜け出してビュコックと会います。人目を憚って夜の公園で小声でラインハルトの作を打ち明けるヤン。ビュコックは、ヤンの話を聞き入れ、クーデターを未然に防ぐよう力を尽くすと約束します。
その帰りにヤンは地球教の行進と出会います。「地球を我が手に」を無気味に繰り返す地球教団体。
その頃、とある地下室では数人の男達が密談を交わしています。暗い照明の中で危険な会話を交わす男達。「首都さえ制圧してしまえば…」と話す彼らから少し離れた所にリンチの姿が。酒瓶を呷り「踊るがいい。手の平の上で」と暗い笑みを漏らすリンチ。
池の側にあるベンチに腰掛け、ラインハルトはキルヒアイスに「どんな男であった?ヤン.ウェンリーとは」と尋ねます。「敵としてこれほど恐ろしい相手を知りません。しかし、友と出来ればこれに勝るものはないかと」この答えを聞いたラインハルトは「ヤン・ウェンリーか、会ってみたいものだ」と答えます。
宇宙歴797年帝国歴488年。この年は一見平和そうに幕を開けた。
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第16話 「新たなる潮流」
投稿日 : 2001/11/14 23:37
投稿者 久保田r
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アムリッツァ会戦の終盤から、同盟軍の政権交替、帝国の後継者争い、地球教の登場と、一つの戦いの後のそれからを表した回です。一つの大きな戦闘が終わり、ほっと一息つきたいような気もするタイミングですが、早くも次の戦いを予感させる展開となっています。
出兵に反対したトリューニヒトは政権に生き残り首班に任命され、その怪人性を徐々に表しています。皇帝が死んだことで勃発する後継者争いは、今後激しさを増します。そして地球教の登場。銀英伝のストーリーはまだまだ続きます。

第16話「新たなる潮流」
機雷原を突破したキルヒアイス艦隊に背後を衝かれた同盟軍は、イゼルローンへの逃げ道を模索します。ヤンは自らしんがりを申し出、味方艦を逃がす為に踏み止まります。ギリギリまで粘り、いよいよ自らの艦隊も脱出という時、ヤンは先刻大きなダメージを与えたシュワルツ・ランツェンレイターに集中砲火を浴びせます。一点突破を計るヤン艦隊。ビッテンフェルトは「我が艦隊に退却の文字はない!!」と、反撃を命じますが、層の薄さはカバー出来ず、ヤン艦隊の突破を許します。
戦闘が終わった指揮官席で呟くヤン「私は、流した血に値するだけの何かをやれるんだろうか」。その言葉を静かに聞くフレデリカ。
総旗艦ブリュンヒルトに各提督達が集まります。「卿らの戦いは見事であった」と労うラインハルトですが、ビッテンフェルトが現われた途端に表情は険しくなります。ビッテンフェルトに厳しい言を掛けたラインハルトは、後を追って来たキルヒアイスに厳しく諌められます。「ラインハルト様は、既に前門に同盟軍、後門に門閥貴族と二つの強敵を抱えておいでです。そのうえ、部下の中にまで敵をお作りになりますな」ラインハルトは返す言葉を失いますが、すぐにキルヒアイスの言葉を受け入れます。そして「キルヒアイス。俺は宇宙を手に入れることが出来ると思うか?」「ラインハルト様以外の何者にそれが適いましょう」という返答を得て、ラインハルトは微笑みます。
進攻作戦が失敗した自由惑星同盟では政権交替が行われ、暫定政権の首班にトリューニヒトが任命されます。その頃、帝国では思わぬ事態が発生します。皇帝の病死です。それにより、帝国では後継者争いが始まります。
ハイネセンの空港でキャゼルヌの見送りに来たヤンは、イゼルローンの司令官の任を命ぜられそうだ、と告げます。そして「なるべく早い段階で先輩にイゼルローンへ来てもらえるよう軍に働きかけます」と約束します。
自治領主の部屋で「しばらく誰も部屋に入れないように」と命じたルビンスキーは、本棚の後ろの隠し部屋に入って地球教の総大主教を呼び出します。暗がりに現れる無気味な黒装束の男・・・。
帝国では、僅か5歳のエルウィン・ヨーゼフが即位します。これにより、ラインハルトは侯爵となり、宇宙艦隊司令長官となります。この結果に怒り狂う門閥貴族達。
ラインハルトとキルヒアイスは、アンネローゼのもとへ向かいます。車を降りたラインハルトは「10年お待たせして申し訳ありませんでした」と頭を下げ、涙を流すアンネローゼと姉弟の抱擁を交わします。
宇宙歴796年、帝国歴487年。銀河の歴史はまた新たな1ページを刻んだ。
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第15話 「アムリッツァ星域会戦」
投稿日 : 2001/11/10 23:30
投稿者 久保田r
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アムリッツァ星域に於ける同盟軍対帝国軍の戦闘の回。
元々同盟軍の今回の帝国領進攻作戦は、一部の人間達の欲によって動き出した作戦で、時期が悪い上に作戦の完成度も低い、いわば始めから勝利が望めない作戦でありました。そこにラインハルトの戦略が付け込む隙がありました。
帝国領深くまで誘い込み兵力を分散させ、食料、物資を吸い取り、同盟軍の補給線をも断つというラインハルトの戦略。ヤンは、最悪の事態が起こる前に占領地を放棄しようと撤兵の準備を始めますが、時既に遅く、食料も物資もない半壊状態の中で、ラインハルト率いる帝国軍との戦闘に突入します。
同盟軍各艦隊に襲いかかる帝国軍。勝利が見えている帝国軍の士気の高い攻めに対し、同盟軍はイゼルローンへ逃げるのが精一杯という状態。それでも同盟軍ロボス総司令官は、恒星アムリッツァに残存艦隊を集結させ、今戦闘の最後の戦いを挑みます。
帝国軍の各指揮官達は、ヤンを意識します。ケンプは逃げるヤンを追わず、ビッテンフェルトはタイミングを誤り自分の艦隊の多くを失ってしまいます。
同盟軍ウランフ中将の指揮官振りに目頭が熱くなります。ウランフ提督に敬礼を・・・。

※今回は戦闘の回ですので、ストーリー紹介は割愛。代わりに幾つかの台詞を。

ヤン「いよいよ始まったな。スパルタニアンに出撃準備を」
ケンプ「面白い。噂のヤン・ウェンリーの手並み、見せてもらおうか」
コーネフ「この戦いはヤバイ。今は、生きて帰ることだけを考えよう」
ムライ「逃げる?のですか?」
ヤン「この戦いは無意味だからね。生き延びるのが先決だ」
パトリチェフ「なるほど」
ヤン「ようし!今だ。全艦逃げろ!」
ケンプ「敵はヤン・ウェンリーだ。深追いは避けるとしよう」

参謀「閣下、もはや戦闘を続行するのは不可能です。降伏か逃亡かを選ぶしかありません」
ウランフ「不名誉な二者択一だな。降伏は性に合わん。逃げるとしよう」

ウランフ「今だっ!」
ビッテンフェルト「くっ」
(豪傑な指揮官同士の対決。 この回で最も描写が細かく、表情が良く、尚且つ声の間合いが秀逸のワンシーンです。戦いはビッテンフェルトの勝ちですが、ウランフの真直ぐな指揮振りはビッテンフェルトを凌いでいたように思います)

ロイエンタール「ほう。最初から逃げにかかっているな。戦術的には正しい判断だが」

ベルゲングリューン「閣下。敵将より降伏勧告を受諾すると言って来ました」

パトリチェフ「閣下、新たな敵が二時方向に出現しました」
ヤン「へぇ、そいつは一大事」

ラインハルト「ビッテンフェルトは失敗した。ワルキューレを出すのが早過ぎたのだ」
オーベルシュタイン「彼の手で勝利を決定的にしたかったのでしょうが・・・」
ラインハルト「援軍?援軍だと?私が魔法の壷を持っていて、そこから艦隊が湧き出て来るとでも奴は思っているのか!?ビッテンフェルトに伝えろ。我に余剰戦力なし。現有戦力をもって部署を死守し、武人としての職責を全うせよ、と。以後、ビッテンフェルトからの通信を切れ。敵に傍受される」
ラインハルト「キルヒアイスはまだか?」
オーベルシュタイン「ご心配ですか?閣下」
ラインハルト「心配などしていない。確認しただけだ」

士官「前方に機雷原。数4千万」
キルヒアイス「予想通りですね。指向性ゼッフル粒子を」
キルヒアイス「主砲、発射!!」
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第14話 「辺境の解放」
投稿日 : 2001/11/05 23:35
投稿者 久保田r
参照先
この回と次回繰り広げられるアムリッツァでの戦いで画面から流れて来るのは、ドヴォルザークの『新世界より』です。私は最初にこの戦いを見た時から、この戦いに『新世界より』を選んだ経緯といったものに興味を引かれているんですが、この曲は、ドヴァルザークがニューヨークの国民音楽院の校長を勤めている時に作った曲で、アメリカ大陸から故郷を思って作曲された、と、解説書で読みました。
帝国を抜け出したハイネセンによって建国された自由惑星は、帝国にとって『新世界より』であるように思います。自由の旗を掲げて帝国領に進攻して来た同盟軍は、イゼルローン周辺の民衆達の目にどう映ったのか。そして帝国領奥深く入った同盟軍兵士達の目には、帝国領というものがどう映ったのか。
『新世界より』。いささか切なく辛い選曲だと感じています・・・。

第14話「辺境の解放」
ラインハルトの戦略により食料、物資が引き上げられたイゼルローン周辺の惑星に降り立った同盟軍は、声高に『解放軍』を主張しますが、民衆は何よりも『食料』を求めます。ただ食料を与えるだけでは未来がないと考えたホーウッドは、ヴァーリモントに荒れた土地を開拓するよう命じます。
しかし、すぐに収穫となる訳ではなく、同盟軍は『解放軍』の大義名分の前に民衆に食料を与え続けなければなりません。食料の補給を算出したキャゼルヌは、総司令官のロボスに直談判をします。ハイネセンからの補給が届く前に帝国軍に補給線を断たれることを心配するキャゼルヌですが、この作戦を提出したフォークが「心配に及ばないのでは」と聞く耳を持ちません。
その頃ヤンは、撤兵の準備を始めます。隣接する艦隊に連絡を取るヤンですが、補給艦隊の派遣を見逃すラインハルトではなく、ラインハルトはキルヒアイスに補給艦隊を撃つよう命じます。1千万t級輸送艦500隻、護衛艦26隻、全滅。
補給を断たれた同盟軍は「現地で調達せよ」という命令が出、今の今まで食料を与えていた民衆より逆に食料を奪い取ります。「解放軍が聞いて呆れる!単なる略奪者ではないかっ!」民衆と同盟軍の間で暴動が発生。それは各地に広がります。
フェザーン自治領主ルビンスキーは、同盟に対してタップリ貸し付けろ、と部下に命じます。戦争で両者が傷ついた上に経済が支配するのだ、と鋭い視線を放つルビンスキー。
ビュコックは、総司令官に取り次がぬフォークを叱りつけ、気絶させます。フォークは病気ということでこのまま療養に。代わったグリーンヒルに再度総司令官と話したいとビュコックは申し出ますが、言いにくそうに返って来た答えは「総司令官はただいま昼寝中です」。溜め息を漏らして空を見上げたビュコックは「この上は前線司令官として、部下の生命に対する義務を遂行するまでです」と、通信を切ります。
ヴァーリモントが手がけた畑を戦車で踏み付ける同盟軍。ヴァーリモントはテレーゼの手を取って「行こう。誰もいない未知の星へ。もうたくさんだっ!」と激昂します。
「ミッターマイヤー、ロイエンタール、ビッテンフェルト、ケンプ、メックリンガー、ワーレン、ルッツ。かねてからの計画に従い、総力を持って同盟軍を撃て!」
宇宙歴796年帝国歴487年10月10日。ラインハルト・フォン・ローエングラム率いる帝国軍艦隊が、補給線を断たれた同盟軍へと反撃を開始した。
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第13話 「愁雨来たりなば・・・」
投稿日 : 2001/11/01 23:31
投稿者 久保田r
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ウルリッヒ・ケスラーのほろ苦い過去を語ったストーリー。軍人になる前のケスラーの若い姿と、フィーアと木々の間を追いかけっこする姿はケスラーファン必見です。
「戦争は、戦場で戦う前にほぼ勝ちを掴む」という戦争の天才、ラインハルトの戦略が表れた回でもあります。ストーリーの途中で交わされるラインハルトとキルヒアイスの心情のずれが、心持ち切ないです。

第13話「愁雨来たりなば・・・」
迎撃の任の勅命を受けたラインハルトは、自らの元帥府で各提督達に作戦を説明した。
「補給線を最大限まで延ばさせ、限界点で一気に同盟軍を叩く」というラインハルトの考えを聞いたミッターマイヤーは「それではかなりの時間がかかるのでは」と懸念事項を言います。その言を受けたラインハルトは、オーベルシュタインに作戦の説明をさせます。「イゼルローンに近接する各星系から駐留軍と共に食料、物資を全て引き上げさせる」そうすれば、解放軍と称している同盟軍は食料、物資を民衆に分け与えるしかなく、早い段階で食料、物資が尽きるであろう、と。そしてこの作戦の指揮官に、既に赴任しているケスラーを任命します。
食料、物資の引き上げ命令を通信で受けたケスラーは、流石に驚きの色を隠せませんでしたが、たじろぐ部下に「この命令はローエングラム元帥が出されたものだ。無闇に民衆を苦しめるようなことはなされまい。我々は、それを信じてただ与えられた任務を遂行するだけだ」と、迷いを断ち切るようにきっぱりと言います。そして各分担を決め、自分はクラインゲルト領へと向かいます。
クラインゲルト子爵へ事情を説明するケスラー。クラインゲルト子爵は、難色を示し、即答を避けます。「明朝までにお答えを」と言って去ろうとしたところへ、ケスラーはフィーアと再会します。
「君とこうして歩くのは何年ぶりだろう」肩を並べて歩くケスラーとフィーア。ケスラーとフィーアは幼い頃結婚の口約束をした仲だったのです。ケスラーが軍人となって戦場に行くことになり、別れた二人。今再会したフィーアは、クラインゲルト家の人間で、カールの母親です。甘く苦い思い出を思い出すケスラー。
同盟軍が後数時間でここへ到達すると知ったケスラーは、再びクラインゲルト子爵を訪れ、答えを尋ねます。「食料、物資は指示通り差し出すが、自分はここへ残る」と言うクラインゲルト子爵。ケスラーは説得を試みますが、クラインゲルト子爵は「領民を残してここを離れる訳にはいかない」と逆にケスラーを説得します。そして、「フィーアとカールのことをくれぐれも頼む」とケスラーに託します。
フィーアにここを出るように促すケスラー。ですが、フィーアは「私もカールと共にここに残る」と、首を横に振ります。「強くなったな、フィーア。もはや・・・」そう呟き、ケスラーは一人旗艦へと帰ります。
食料、物資の積み込みが終わり、飛び立ったところで入れ違いに同盟軍艦隊がクラインゲルトへ到着。ケスラー率いる帝国軍は最大速度でこの地を離れ、民衆は同盟軍を歓喜の声で迎え入れます。同盟軍が配る食料、物資の列にカールの手を引いたフィーアの姿が。
しかし、民衆と同盟軍の蜜月時代は長くは続かなかった・・・。
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第12話 「帝国領進攻」
投稿日 : 2001/10/28 23:39
投稿者 久保田r
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自由惑星同盟の帝国領進攻作戦が決定するまでの流れを追った回。イゼルローン攻略で帝国との講和を望んだヤンの気持ちとは裏腹に、政府は進攻作戦を決定します。
ここでアンドリュー・フォークが登場。ヤンをライバル視していて、フォークが進攻作戦を提案したばかりに政府は動いてしまいました。この帝国領進攻作戦は一体どういう結末となるのか・・・。ヤンの表情を見る限り、明るい未来はないように思えるのですが・・・。
絵が良いです。キャラの動きがよく描かれていると思いました。髪を揺らすヤンの動きと表情。勅命を受ける時のラインハルトの微妙な笑みを含んだ表情。素晴らしいです。

第12話「帝国領進攻」
イゼルローンを味方の血を一滴も流さずに攻略した自由惑星同盟は、その勝利に酔いしれ、人々は貪欲に勝利を求めるようになった。
幕僚会議に向かう車の中で、シトレはヤンとキャゼルヌと帝国領進攻について話します。「簡単に遠征なんか決まって欲しくはないが、決めるのは政治家たちだ」と話すシトレ。キャゼルヌも「彼らに自分の運命を委ねるのは・・・」と、こぼします。
3人の乗った車が大渋滞に巻き込まれます。復旧までに4時間かかると聞いて、シトレはヘリコプターで移動することにします。その時に、同じく渋滞に巻き込まれていたシトレの幼馴染みであり政治家のレベロを同乗させます。ヘリコプターの中で彼らは、軍に人材を取られ過ぎている、と話します。
レベロが向かった最高評議会では、帝国領への進攻作戦の可否が論議されます。経済的に苦しいこと、人員的にも苦しいことを述べ、レベロとホワンは作戦の反対を提言しますが、進攻作戦を決定すると支持率が上向くという数字の試算を見た議員たちのほとんどの賛成多数により、作戦は決定されてしまいます。この時、国防委員長であるトリューニヒトは反対しています。
進攻作戦が決まり、軍は動き出します。作戦会議の席上で、フォークが高らかに弁説を奮います。「帝国領に同盟の旗を掲げて長い列を成して進攻するのです!」ヤンは、おそらく帝国からはローエングラム伯が出て来ると思うので事は慎重に、と、提言しますが、自らが出した作戦に陶酔しているフォークは、ヤンの慎重論は味方の士気を削ぐものである、と、抗弁します。これに対し、ビュコックが礼を失している、と、注意しますが、フォークは聞く耳持たず。会議場に延々と響き渡るフォークの演説・・・。
会議場に残ったヤンにシトレは言います。「フォークのような男に3000万人の命を託すのは危険だ。軍には君が必要だ。君しかおらんのだ」力強いシトレの言葉に、戸惑うヤン。
そして帝国では。フェザーンより同盟軍の帝国領侵攻の報を聞いた帝国は、その迎撃をラインハルトに任せます。
こうして、同盟軍8個艦隊約20万隻3022万7400名による帝国領進攻作戦は開始された。「必ず出て来る。 ローエングラム伯ラインハルトが。我々の命運もその出方次第ということか」銀河は再び血に塗れようとしていた。
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