石ノ森章太郎原作の『イナズマン』は実写のヒーローアクションだったが、元々はアニメーション番組としての企画だった。今回原作コミックがアニメ化されたのは、ある意味で原点帰りみたいなものかもしれない。
ただし残念ながら『イナズマン』全篇のアニメ化ではなくて、ジロー＝キカイダーがゲスト出演する、ファンにも人気の高い番外編的なエピソード『ギターを持った少年』のみの変則的な映像化。『キカイダー０１／THE　ANIMATION』＜コレクターズＤＶＤ−ＢＯＸ＞の特典映像扱いで、あくまでも『人造人間キカイダー／THE　ANIMATION』（及び『０１』篇）のラスト・エピソードとしての位置付けだ。そのため原作版『イナズマン』を知らない人には、かなり不親切な内容であるのは確かだろう。
ただ、ずっと『キカイダー』を見つづけてきたファンにとっては、原作エピソードを大幅に膨らませ（キカイダーとイナズマンの対決！、己の精神世界でのジローとイチローの対話、服部半兵の再登場などなど）、『０１』篇の衝撃のラスト・シーンを経たジローの＜心の解放＞が描かれた、ジローなりのハッピーエンドを迎える展開には安堵するに違いない。
『イナズマン』側のキャスティングなどに不満がないではないが、丁寧に作られた好篇でファン必見。この勢いで是非とも『イナズマン』全篇のアニメ化も実現して欲しい。

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