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「宇宙戦艦ヤマト2199」
投稿日 : 2012/06/08 17:20
投稿者 久保田r
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2012年4月「第1章」劇場公開〜Blu-ray・DVD発売〜インターネット配信〜レンタル〜TV放映という映像展開

<スタッフ>
総監督・シリーズ構成:出渕裕
原作:西崎義展
キャラクターデザイン:結城信輝
ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一
チーフディレクター:榎本明広
チーフメカニカルディレクター:西井正典
CGディレクター:今西隆志
メカニカルデザイン:玉盛順一朗、石津泰志、山根公利、出渕裕
セットデザイン:高倉武史、小林誠、渡部隆
コンセプトデザイン協力:宮武一貴
撮影監督:青木隆
美術監督:前田実
色彩設計:鈴城るみ子
音響監督:吉田知弘
音響効果:西村睦弘
音楽:宮川彬良、宮川泰
CG制作協力:SUNRISE D.I.D.
アニメーション制作:XEBEC、AIC
製作:宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会

<キャスト>
沖田十三:菅生隆之/古代進:小野大輔/森雪:桑島法子/島大介:鈴村健一/真田志郎:大塚芳忠/徳川彦左衛門:麦人/佐渡酒造:千葉繁/加藤三郎:細谷佳正/南部康雄:赤羽根健治/相原義一:國分和人/太田健二郎:千葉優輝/AU09:チョー/山本玲:田中理恵/原田真琴:佐藤利奈/篠原弘樹:平川大輔/榎本勇:藤原啓治/山崎奨:土田大/平田一:伊勢文秀/星名透:高城元気/薮助治:チョー/アベルト・デスラー:山寺宏一/レドフ・ヒス:秋元羊介/ヴァルケ・シュルツ:島香裕/ゲルフ・ガンツ:チョー/古代守:宮本充/山南修:江原正士/芹沢虎鉄:玄田哲章/土方竜:石塚運昇/藤堂平九郎:小川真司/スターシャ・イスカンダル:井上喜久子、他

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第7章 最終話「青い星の記憶」
投稿日 : 2013/12/09(Mon) 15:24
投稿者 久保田r
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 一路、地球を目指すヤマト。白兵戦の際に撃たれた雪は意識不明の重傷を負い、地球に辿り着くまでは保たないであろうと診断された。そこで真田の提案により雪の身をこの状態のまま保たせるため、かつてユリーシャが眠っていた装置へと移した。その頃、艦内では、ヤマトのではない艦内服を着た男性の幽霊を目撃したという噂が流れていた。新見薫も目撃しており、その姿は古代守であった。地球が近づくにつれ沖田艦長の体は弱っていき、相原は父が亡くなり年老いた母を思って悲嘆に暮れる中、古代は自身の悲しみを押し殺してクルーを励まし、加藤三郎と原田真琴の結婚パーティーを企画するなど気丈に振る舞っていた。そんな中、雪が奇跡的に目を覚ます。しかし、それも束の間の出来事で今度こそ雪は息を引き取ってしまう。古代は雪の体を抱きしめたまま泣き崩れる。そしてその時、コスモリバースが起動を始める。

 「奇跡は、起こるものではなくて起こすものです」──。この真田の言葉に要約されている最終話。イスカンダルでスターシャが語りかけていた”物”の正体と、奇跡が起こるまでの過程とが、切々とした悲しみと共に受け継ぐ希望として描かれている誠に最終話らしい最終話だった。登場人物がそれぞれに役割を果たしており、長い旅路の中でヤマトの乗組員として育まれた各人の思いが表現されていて涙腺の緩む内容だった。

 第1話がそうであったように、最終話に於いても出来る範囲の中で旧作をトレースしている。リメイク作品であるため、着地点がここであるのは確かなこと。途中、ガミラスとの戦闘やイスカンダルでの波動砲の封印や古代守のことなど独自のものを打ち出して来た『2199』ではあるが、これらの独自の設定を織り込みつつも旧作と同じ最終話となるよう調整が取られており、ちゃんと名シーンと名台詞が生きていた。ここに至るまでの過程で幾つか気になることがあっても、この最終話の持つ雰囲気は旧作とほぼ同じであったのではないかと思う。古代が少し出来過ぎな感はあるものの、兄の守の跡を立派に継いでいる成長の証しとして見れば結婚パーティーを企画をしたりクルーを励ますといった行動にも何とか理解ができる。表では笑顔で心では泣いて。自室でぐったりとした格好で寝ている古代の姿は痛々しかった。

 原田真琴嬢が健気でよかった。彼女の台詞と声に涙腺が緩んだ。良い表現力だった。真田も新見薫も良い感じに思いを表現していてよかった。佐渡先生もよかった。人の生死に携わる悲喜交々をぐっと飲み込む人物が描かれていた。そして何と言っても沖田艦長。ヤマトになくてはならない存在。艦長の最後の台詞には泣けて泣けてしょうがなかった。心を込めて敬礼を。

 この『2199』は、旧作を知らない人の目にはどう映ったのかは分からないが、旧作とは違うアプローチと物の見方を持っているため旧作と同じイメージを持たない作品だと思う。それは作品が作られた時代が違うという点もあるし、ガミラスとイスカンダルの設定や、古代進の描き方など。旧作のどういう点を重要視しているかによって『2199』の評価は分かれるところであると思うが、一隻の艦が地球を救うという一大ロマンは描かれていた。このロマンの一つの描写作品が『2199』であったと思う。
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第7章 第25話「終わりなき戦い」
投稿日 : 2013/12/06(Fri) 16:21
投稿者 久保田r
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 コスモリバースシステムを受領したヤマトは、地球への帰還途中に一艇の難破したガミラス艦を救助する。その艦にはミーゼラが乗っており、面識のある雪が世話係として接した。ヤマトは行程の遅れを取り戻すため亜空間ゲートのあるバラン星へと向かう。が、待ち伏せていたゲール指揮するガミラス艦隊の攻撃を受け窮地に立たされる。しかしそのヤマトを救うかのように現れたフラーケン率いるガミラスの次元潜航艇がゲールの艦隊を攻撃し、ヤマトはこの機に乗じて亜空間ゲートへと進入。しかし、ゲート内部には思いも寄らぬ敵が待ち伏せていた。

 この回を入れて残り2話。次の最終話が地球への帰還を描くための回だとしたら今回がデスラーの見せ所。そう、またもやデスラーは生きていた。「我がガミラス(=デスラー)は不滅なのだよ」の台詞を地で行くしぶとさ。このしがみつくようなしぶとさを見せながらも決して醜態を晒すことはなく、どんな場面でも優雅な仕草と言動を見失わないところがデスラーの美学。…ということで、前々回に雪の破壊工作により波動コアの爆発に巻き込まれて死んだ筈と思われていたデスラーは、爆発時のタランの「ゲシュタムジャンプしろ!」の命令のおかげで助かっていた。

 ガミラスはもはやバラバラとなっており、指導者であるデスラーは生き残っているものの公には死んだと思われているので、代わりにメルダの父のガル・ディッツが当座のまとめ役となっているが、当然ゲールのような命令違反者も出るわけで。このゲールめもいち早くデスラー総統と会えたのは彼にしちゃ僥倖であったと思うが、時期が時期だけにこの混乱期を乗り越える運の強さまでは持ち合わせていなかったよう。ここでまたもやおいしい出番をかっさらって行くのがフラーケン。このフラーケン、宇宙服を着て艦から身を乗り出して指揮をするという強心臓の持ち主。人の目で宇宙空間の戦場を把握できるのかどうか不思議でならないけれども、この野生にようなフラーケンならば可能なような気もして来るのだからどこまでもおいしいキャラ。それに何と次元潜航艇の機関室に薮がいた。惑星レプタボーダの暴動に巻き込まれた際にザルツ人としてフラーケンに拾われたとのこと。こういう巡り合わせが彼の持ち味なのかも知れない。

 さて、ヤマトの白兵戦。亜空間ゲート内でヤマトを襲ったのは他でもないデスラー自ら。大きな艦でヤマトをホールドし、戦いはガミロイド兵に任せ自身は複数の女性護衛兵を従えての侵入。どこまでも格好よく優雅なデスラーの動きには機敏さは感じられないまでも、咄嗟に感じた危機には躊躇なく引き金を引いた。そしてミーゼラはデスラーに撃たれて倒れる。このシーンの修羅場は胸に痛い。倒れたミーゼラに投げつけた女性護衛兵の冷たい言葉は、ミーゼラの人生の中で最も多く浴びてきた言葉であったろうし、人の心の機微に聡い雪にとってはいたたまれないことこの上ない場であったと思う。故に、雪はミーゼラの前に体を投げ出してしまう。そしてその光景を目の前で見てしまった古代。古代と雪は、こういう運命なのであろうか。いつも雪の危険を古代が目にする。そうであっても惹かれ合うのならば強固な結びつきの二人となるであろうが、そうでなければ辛いばかりの二人であるとしか言いようがない。何とも悲劇性の濃い二人だ。

 この場を去る際のデスラーと古代のカットを見て、もしやこの回は2014年公開予定の新作劇場版への伏線なのだろうかと感じ取った。ゲート内で爆発したデスラーの艦が助かっているとは俄には信じられないが、しかし、シリーズはこの後に『さらば』『2』があり『新たなる旅立ち』へと続いて『III』を経て『完結編』がある。だからデスラーは生きていると言い切ることは出来るが、この爆発からどう復活を遂げるのかが気になるところ。

 それにしても『2199』のガミラスは、母なる星のために戦ったのではないのだなぁ…。今回このことがはっきりと分かって、なんかこう心底から「いや、それは基本中の基本として違うんじゃ…」と感じるのは私だけなんだろうか。もしそうなら済みません。天の邪鬼な奴の戯言としてお流しください。しかしどうにも落胆する気持ちは抑えようがありません…。
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第7章 第24話「遥かなる約束の地」
投稿日 : 2013/12/03(Tue) 16:33
投稿者 久保田r
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 ガミラスとの激戦を経て、遂にヤマトはイスカンダルへと到達する。真田は、ユリーシャと古代らを連れてスターシャとの謁見に向かうが、スターシャはその席で波動砲の存在に嫌悪感を示し、コスモリバースの受け渡しを検討すると告げる。途端にヤマト艦内には動揺が走ったが、衛生士の原田真琴が意見具申をし、女性乗組員を中心にイスカンダルの海での海水浴を楽しむ。一方スターシャは、通信でガミラスのヒス副総統と会見をし、「ガミラスは波動砲によって救われ彼らに対するこだわりはなくなった」という言葉を聞く。そしてスターシャは、ヤマトの改造を条件にコスモリバースを受け渡す旨を沖田艦長に告げる。

 イスカンダルの星のイメージは、旧作とほぼ同じでホっとした。星の持つ暖かさと穏やかさが良いイメージとなって伝わる映像で良かった。旧作と異なっているのは着陸後で、アンドロイドがサポート役として登場したり、スターシャのいる塔の内部など随所に於いてしっかりとした設定のもと描かれている。

 古代守の設定が『2199』独自のものを打ち出している。イスカンダルに到着後の大きな出来事の一つには古代兄弟の再会があったが、この兄の守の設定が旧作とは大きく異なっている。しかし、どうやらスターシャは守の子を宿しているようで、シリーズ全体で捉えた場合に一応その後の物語に繋がるよう。(とはいえ、守は瀕死の身だったんじゃないんかい…というツッコミは一応入れておく)

 スターシャとデスラーの間でどんな約束(?)が交わされていたのか今回の内容からは推測は難しいが、デスラーはとことんスターシャを愛していたというのは分かったし、スターシャもちゃんとデスラーの気持ちに気づいていたことも今回の描写で分かった。デスラーの行動は全てスターシャに対して募るばかりの想いからだった…と思うと、何ともはや切ない気持ちになる。こじれた大人の恋心というものほど切ないものはない。もしデスラーの思い通りにイスカンダルへの遷都が成されていれば、彼は至福の時を迎えられたかも知れない。が、それを阻んだヤマトへの憎しみは深くなるばかりであろう…と思う。

 海水浴についてはもはや何も言わん…。第11話のレビューで水着について触れたけどここでこんな形で見れるとはねぇ…と思ったことと、メルダと山本玲は第三艦橋の辺りまで素で潜れるのか…と感心したぐらい。でも、星名くんと篠さんの水着姿見れたのはまぁよかったかな。どうせ描くなら平等にね。

 スターシャの姉度がとても高くて驚いた…というか、ちょっと引いてしまうほどかっちりとした長女体質で怖いくらいだった。女王であるのでこれくらいでいいのかも知れないけど、妹であるユリーシャですら大人しくシュンとした態度でいるので、スターシャの権威の強さが知れて畏怖の念を抱いてしまうほど。ガミラスのヒス総統もかなりかしこまってたし、イスカンダルの女王って凄い立場なんだなぁ…。
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第7章 第23話「たった一人の戦争」
投稿日 : 2013/12/02(Mon) 16:26
投稿者 久保田r
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 サレザー恒星系にワープアウトしたヤマトに突如、高エネルギー体が襲う。高エネルギー体は、ガミラスとイスカンダルのある方角から発射されており、ヤマトはすれすれのところで回避する。発射された高エネルギー体は、波動エネルギーを転用したものであり、ヤマトの持つ波動砲と同じものであった。ヤマトは、最大戦速でガミラスへと突入し、そのまま総統府の塔へと突っ込む。デスラーは、デウスーラに乗艦し単独で首都を発進、第二バレラスへと向かう。そしてデスラー砲の修理を急がせ、切り離した第二バレラスの一部をガミラス総統府のある方角へと加速させる。デウスーラに乗っていた雪は、波動コアの制御室へと侵入し破壊工作を開始する。

 なかなかに意味深なタイトルが中味を象徴していると感じた第23話。ガミラス=デスラーであったし、ヤマトは乗組員一人一人の持つ人情が沖田艦長の下よい具合に結束して戦いへと向かっているしで、一つ一つをバラして見ると結果「個」である…ということを感じ取った内容だった。

 離れていても雪は毅然としたヤマトの戦士であったし、古代は遅まきながらも己の気持ちをはっきりと自覚して行動を取るようになったしで、この二人の方向性がやっと周囲に認められる形で一つになった感じ。これならば何人たりとも横から手出しできない強固な絆になったと思う。

 今まで悠然と構えているばかりだったデスラーが行動的となり本性を現し始めた。スターシャと会話するシーンでは秘めたる色気が漂っていて直視するのが辛いほどの美しい描写であったし(デスラーと比べてスターシャの絵はやや幼かったが)、かと思うと声とは裏腹に冷酷な命令を下すという、孤高の支配者たる姿が描かれてあり唯一無二の魅力的なキャラクターとなっていた。これは、声を担当している山寺宏一さんに依るところが大きいようにも思う。もしこれが徹底して冷たい声であったならばギャップが生まれず奥行きのないキャラクターとなってしまっていたのではないかと。旧作で声を担当された伊武雅刀さんの声もキャラクターの内面を思わせる良い声だった。両者の声の質に違いはあれど、デスラーというキャラクターの魅力を十分に表現している声という点では一致。素晴らしい声。

 戦闘シーンの絵や切り離された第二バレラスの一部が加速するシーンやその他にも、あちらこちらの絵に見たことがあるような感覚を覚えつつも、もうここまで来るとあれやこれやと突っ込むのは野暮という気もするし、もはや突っ込むべきではないという気もするし、ともかくも細かいところはスルーしてラストまで見届けようかという気持ち。ただしユリーシャが前にも言っていた「言葉ではなくその行動」という言葉は、結構便利な言葉だよなぁということだけは突っ込んでおきます。

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第6章 第22話「向かうべき星」
投稿日 : 2013/09/12(Thu) 15:56
投稿者 久保田r
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 沖田艦長は、ガミラスの収容所であった惑星レプタボーダで現政府に反対するガル・ディッツらとヤマトで会談するも共闘という道には至らず袂を分かつしかなかった。だが、連絡要員としてメルダ・ディッツがヤマトに残ることとなった。艦内にはイスカンダルとガミラスが二連惑星であるという衝撃が走ったが、ヤマトの最終目的を果たすべくクルーの団結力は更に深まった。一方、ユリーシャと間違われたままガミラスの本星であるバレラスへと連れられた雪は、総統であるデスラーと面会する。デスラーの側近のミーゼラ・セレステラは、ユリーシャ(雪)との対話から正体を見破り、デスラーに進言するもデスラーはユリーシャ(雪)への対応を変えることなく思うままに事を進める。そしてヤマトは、長距離ワープを経てイスカンダルとガミラスのあるサレザー恒星系へと向かう。

 政治的なことと個人的なことと女子力…これらの事柄が順繰りに描写されていると感じた回。現政府に反旗を翻した高官と会談をしたり、捕われの雪の身を案じる古代の表情や、ユリーシャとメルダと山本の女子トークや、ユリーシャと間違われたままの雪がガミラスの式典の場に出席させられたり、セレステラの身の上が語られたり…等々。大局の流れに沿うように個人のことが少しずつ綴られ、その中にあって昨今の社会的な風潮である女子会がといったものが盛り込まれてあり、深刻且つシリアスでありながらも所々に砕けた感を出しつつ年齢層の広い視聴者の好みを反映しているようにも感じた…というのは、少々考え過ぎかもしれない。もしかしたら単に描写したいだけなのかも知れないとも思いつつ。

 女子会シーンは必要なのか?必要なのか?必要なのかーーっ??山本が意外に女子トークの仕切りが上手くて思ったよりはまとまってはいたけれども、パフェを食べたメルダも可愛かったけれども、ユリーシャの妹度の高さが可愛くもあったけれども!でも!この3人の女子会シーンはインパクトあり過ぎ。おかげでメインである筈のシリアスな展開の深刻度が薄れてしまってはいるではないか…。私はそっちの方に酔いしれたいのに…だ。

 冒頭のガル・ディッツと沖田艦長の会談シーンのやりとりをじっくりと見たかったし、ドメルの妻のエリーサと本物のユリーシャとの会話や、同じくエリーサと沖田艦長との会話も見たかった。そして、セレステラの身の上が語られている時にシンクロして流れていたデスラーの映像が内面を描写していて美しくもあり残酷でもあった。あれは暗示なのかと思うとぞっとするし、その反面でスターシャに対して特別な思いを持っていると感じさせる時もあり、孤高のデスラーの内面を窺い知る良いシーンであった。…が、時間の関係からか余韻があまりなくて残念であった。

 そう!全体的に時間がない!巧い描写がそこかしこに鏤められているのに、一つ一つが急ぎ足で過ぎているので余韻に浸る間もなく過ぎ去ってしまっているのが残念。この時点で残り4話。ここから先もみんなこういう急ぎ足な展開になるのかと思うと、ちょっと鑑賞するテンションが下がってしまう。

 追記。
 薮。違和感なく溶け込んでいたけど、彼は行く先は一体どこ?また会えるかな?
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第6章 第21話「第十七収容所惑星」
投稿日 : 2013/09/11(Wed) 13:54
投稿者 久保田r
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 七色星団の戦いで亡くなった戦士の魂を敬礼で見送るヤマト乗組員。艦の修理に必要な物資が惑星レプダボーダにあることを知った沖田艦長は、古代に偵察任務を命じる。古代がコスモシーガルに乗り組むと、そこにはユリーシャがおり、「雪がその惑星にいる」と告げる。その言葉を聞いた古代は、ユリーシャを乗せたまま偵察へと向かう。その頃、雪は、フラーケンの艦で惑星レプダボーダことガミラスの第十七収容所惑星に降り立ち、ユリーシャとして大切に扱われていた。雪の身の回りの世話役には、エルク・ドメルの妻のエリーサがイスカンダルの作法を知っているとして任されていた。偵察に向かうコスモシーガルの中には伊東と薮がおり、揉めた際に薮が発砲。シーガル機は故障し、惑星レプダボーダに不時着する。古代らは囚われの身となるも、折しも収容所内で暴動が発生。危険を回避するため雪は護衛の兵に連れられて再びフラーケンの艦で惑星を脱出。古代は収容所内にあるモニターでその様子を目撃し、再び目の前で雪をさらわれてしまう。そこに現れたユリーシャが、衝撃の事実を告げる。

 事態は表面的な戦いとは異なる内部的な方向へと進んだ感のある第21話。先の戦いでガミラス兵が雪をユリーシャと勘違いして連れ去ったのとユリーシャ本人が目覚めたタイミングとがほぼ同じのため、合理的なようでいてその実少々面倒さが増しているようなそんなちょっと入り組んだ展開となっている。

 フラーケンは命令によって第十七収容所惑星に立ち寄ったのだと思うけど、でも次元潜航艦で一気にバレラスに連れてった方がユリーシャ(雪)の身柄は安全だったんじゃ…?というツッコミを一応入れつつ、それよりも何よりも雪の順応性の高さに驚き。自分が誰と間違われているのかを冷静に判断し、そのように振る舞っているのだから女性って怖い(汗)。雪は割と度胸があるところを見せる時があるが、その側面が発揮されてるように思う。

 収容所の暴動は、メルダ・ディッツらによるもの。収監されていた父、ガル・ディッツを救助し収容所を制圧する。今後のストーリー展開に今回のこの事態がどう絡んで来るのか気になるところ。そして、古代は雪をその手で救えるのかどうか。目の前でさらわれた衝撃が大き過ぎたのか、古代はずっと暗い顔をしたままで台詞のほとんどを「雪っ!!」と叫んでいる印象。それほどの衝撃であることを伝えるに十分な小野大輔さんの好演。

 それにしても、殺伐とした収容所に雪のドレス姿に暴動というキーワードが重なると、『III』の「第12・13話」に登場したボラー連邦の囚人の流刑地であった惑星バースを思い出す。それに、古代が一生懸命に雪を見つけようとする姿を見ると、『復活篇』で行方不明になった雪を人類を助けた後に必ず見つけ出すと心に誓った古代の姿とが重なる。『復活篇』の古代も胸中ではきっと『2199』の古代と同じであろうと思うと切なくなる。早いところ続編で雪を探す古代を見たい。
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第6章 第20話「七色の陽のもとに」
投稿日 : 2013/09/09(Mon) 15:00
投稿者 久保田r
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 七色星団へと進入したヤマトは載機戦戦により戦いが始まった。ドメルは、第2次攻撃の艦載機隊を最新試作兵器である瞬間物質移送器を使ってヤマトの真上に送り込む。至近距離で攻撃を受けるヤマトを山本の駆るコスモゼロが援護。混乱に乗じてフラーケンの次元潜航艦が浮上し、特殊部隊がヤマトに潜入。保安部の指揮を執る古代の目の前で雪がさらわてしまう。ドメルは、瞬間物質移送器で巨大な削岩機をヤマトに送り込みこれで波動砲口を塞ぐが、第3艦橋で波動防壁の修理をしている真田に代わって新見が削岩機の中に入ってアナライザーと共に起爆装置を解除、回路の反転に成功する。そして機動部隊の苦戦を認識したドメルは、艦隊を前へと進めるが…。

 激戦の「七色星団決戦」。刻々と変わる展開の中、有能な指揮官同士の戦いを手に汗握る緊張感と共に見ることのできる内容となっている。次から次へとヤマトの至近距離に兵器を送り込むドメルの策は、ヤマトに休む間も与えぬ波状攻撃の連続となっており、見ている方も(もう勘弁してくれ)と思うほど。一見、受け身のように見えるヤマトだが、一つ一つの事態にそれぞれの部署がきちんと対処しており、結果に繋がる働きをしている。今作でキャラクターの数が増えた分だけ各部署の役割がしっかり表現されているので、こういう戦闘時に活躍している姿は見応えがある。

 ドメルの部下には一癖も二癖もある個性が揃っていて愛着が感じられた。彼らには彼らの誇りがあり、軍人として任務を果たす姿勢に胸を打たれた。だがしかし、戦争の悲惨さや絶望の前には全てが悲し過ぎた。この戦いでは新兵器や奇策という見どころと対をなすように戦いが生み出す悲しみにも目を逸らすことなく描いている。爆風と共に宇宙空間に吸い込まれる乗組員、撃墜されるコスモファルコンの若いパイロットの「母さん…!」という叫び、ヤマトに潜入した部隊長が自爆する際の「ザルツ万歳!!」という叫び、「航空隊帰投しました。未帰還…12…」という犠牲の数、「ヤマトを見逃すことはできない」と言ったエルク・ドメルの自爆…。悲しみが大きく深いほど戦いは激しく凄まじい。戦いの生み出す死の重みについて痛感するシーンに悲しみが止まらなかった。

 ヤマトは七色星団を離れた。雪は連れ去られたまま。そして目覚めたユリーシャ。進むヤマトに新たな展開が待ち受けている。

 追記。
 ユリーシャの妹度の高さに思わず引いてしまった。百合亜の姿の時に時折見せてた指で髪をクルクルと巻く天然ぽいぶりっこさは、ユリーシャの性格を表す癖だったのかとやっと理解。顔はお姉さん系なのにねぇ…。
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第6章 第19話「彼らは来た」
投稿日 : 2013/09/06(Fri) 15:53
投稿者 久保田r
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 首謀者のゼーリックの死により反乱騒動に幕の降りたガミラスでは、監禁されていたドメルが解放され、デスラー総統よりヤマト討伐の命が下りる。しかし主力部隊のほとんどはバラン星の近くにあり、現況下に於いてドメルの下に集まった兵士は老兵と少年兵とがほとんどであった。しかしドメルには策があり、再び次元潜航艦隊のフラーケンを呼び寄せ、また、最新の試作兵器や”先端にドリルのついた兵器”等を従えてバレラスを発進した。一方、ヤマトでは波動砲の定期点検が行われ、沖田艦長と岬百合亜の体を借りているユリーシャが波動砲の在り方について意見が交わされる。そして、いよいよ難所と言われる七色星団へと突入。ドメル艦隊もまた七色星団へと進路を取っており、先行しているフラーケンがヤマトの姿を確認。ヤマトとドメル艦隊の戦いが今再び始まろうとしていた。

 「七色星団決戦」へと向かう助走段階の回。双方の指揮官の置かれている立場やその背景がタイミングよく交互に描かれ、静かに沸々と指揮官の胸の内に秘めたる決意が徐々にゆっくりと加速しながら確実に避けては通れない戦いへと一路進んでいるという、じわじわと熱さの蓄積する内容となっている。

 ここまで鑑賞して来てどうも私はガミラスへと傾倒してしまったようで、ヤマトの描写よりもガミラスの描写にわくわくしてしまって仕方がない。雰囲気たっぷりのデスラーの所作や表情、出来る男のドメルの存在感、男気に満ちた部下たちの言動と行動、そして国への忠誠心といったものが整然とした中にも情熱を持ったキャラクターとして描かれてあって非情に魅力的。方やヤマトの乗組員はというと、どうにも見た目に幼さが感じられ、感情移入に躊躇いを覚えてしまう。まさにこの終盤に入って作品公開前に一番最初にキャラクターの絵を見た時に感じた違和感が私の中で顕著となって来たよう。

 今回、涙腺が緩んだシーンは、ドメルの部下たちがガミラス国家を歌うところ。あの国家を歌うシーンで、ガミラスとドメル艦隊の置かれている現状から戦いへと赴く兵士たちの胸中にある決意が汲み取れる。素晴らしい演出。音楽の素晴らしい演出は随所で光っており、シーンを盛り上げ且つ次の展開へと導く役目を果たしている。

 追記1。
 デスラー総統の宇宙服着用姿を初めて見た気がする。これまでのシリーズではイメージ優先であったため宇宙服を着ずに甲板に出て古代と会話をしたりしていたけれど、『2199』ではその辺の描写がリアル。デスラー総統の宇宙服姿はスマートで格好よく閣下らしさのあるデザイン。

 追記2。
 岬百合亜の体を借りているユリーシャの口調がどうも落ち着かない。見た目とのギャップのせいだとしても統一感のないところがどうも…。「ぎゅってなに?」っておいおい…。

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第5章 第18話「昏き光を越えて」
投稿日 : 2013/07/10(Wed) 14:37
投稿者 久保田r
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 岬百合亜の体を借りたユリーシャの協力により亜空間ゲートが使用できるようになったヤマト。ゲート内部と出口となるバラン星の様子を探るため航空隊の篠原が偵察任務に志願する。以前捕獲したガミラス機で単身ゲートに進入した篠原は、ゲートを抜けた先のバラン星で圧倒的な数のガミラス艦隊を目にする。折しもバラン星にはヘルム・ゼーリック元帥の命令により1万を超えるガミラス艦が集結していた。篠原は、傷つきながらも帰還。持ち帰ったデータから真田は迂回を提案するが、沖田艦長はゲートを使う決定を下す。

 「違う!断じて違う!」
 ↑この台詞O.Kなのか!?こういう状況のシーンで使う台詞じゃなかろう。ましてやゼーリックのようなおっさんが使っていい台詞じゃないぞ。でも私的には若本さんの声で聞けてちょっと嬉しかったんだけどさ(笑)。

 そんなこんなで今回のMVPはある意味ゼーリック、またある意味ゲール、いや正統なところで篠原、いやいや何と言っても沖田艦長でしょう…というところで、今回はインパクトのあるキャラが前へ前へと押しの強さを見せている濃い内容でありました。とはいえまぁ一番おいしいところを持ってったのはデスラー総統閣下なんですが。

 そう。デスラーは生きていた。と、ネタバレしていいものかどうか分かりませんが、でもこんな中盤であっさりと暗殺されたんでは「ヤマト」の物語そのものが違うものになってしまうので、まさか死ぬわけがなく、そういう意味では誰が首謀者でどんな結末を迎えるのかという点でとても興味のある暗殺(未遂)劇だったのは確か。そしてあのタイミングに余裕のある表情で総統閣下のご登場。付き従っているフラーケンの顔も凛々しく、味方にも知られず存在を隠すには”潜る”のが一番の策であったというのがよく分かるシーンとなっていてよかった。

 さて、今回最も燃えるのは、1万を超える大艦隊に単身で挑んだヤマトでありましょう。普通に考えれば無茶な戦いだけれど決して行き当たりばったりではなく、戦いの前にきちんと情報収集をし、その上で戦法が考えられ、加えてヤマト自身の強さがあったからこそ出来た戦い。「これが沖田戦法」と驚嘆した古代のつぶやきに同感。テンポの良い戦闘シーンの中、戦いながら突き抜ける格好よさと装甲が破れるシーンも同等に格好よく見える描写力に感動。これがヤマトの強さであり凄さというのが分かるスピード感のある戦闘シーンだった。
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第5章 第17話「記憶の森から」
投稿日 : 2013/07/05(Fri) 14:27
投稿者 久保田r
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 ヤマトとの戦闘中に緊急の帰還命令を受けたドメルは、デスラー総統暗殺の嫌疑を掛けられ死刑判決を言い渡される。この報せを喜んだヘルム・ゼーリックは、艦隊をバランへと集結させる。一方のヤマトは、伊東の発した「雪はイスカンダル人」の言葉が影響を残しており艦内には気まずい空気が流れていた。1年前よりも過去の記憶のない雪は噂を否定することができずにいた。そんな中、真田は古代と雪を連れてビーメラ4のゲートの再起動へと赴く。この再起動が成功すればヤマトは3万光年もの大跳躍が可能となる。

 ガミラスの英雄ドメルが窮地に立たされるシーンから、ヤマトの新たなる事実が発覚!を描いている第17話。あの英雄ドメルがあれよあれよという間に死刑判決を言い渡される流れは、おそらく何者かの陰謀によるものであろうということは想像に難くないが、それが一体何者であるのか、果たしてデスラーは本当に暗殺されたのかどうかということは、今後の展開で明らかになるのかと。ドメルの妻の今後も気になるし、空港の様子を見ていた女性の存在も気になるところ。

 ヤマトの新事実発覚は、タイミングとしては事態の収拾のためによかったと思うけれど、心情的には微妙。地球の運命を背負うっていうことは、公明正大なことばかりではなく清濁合わせ呑むことである…ということが、ここに来てよーく分かる内容になっていたと思う。今回の話を見て、私の好きな「ヤマト」ってどんな姿だったっけ…と若干不安な気持ちになった。こう感じるということは、いささかのずれを感じるということであると思うのだけど、それはそれこれはこれとして、今回の話を経て今後どのような展開になるのかという点に於いてまだ興味がある。

 真田が持っていた中原中也の詩集の意味が明らかに。今回はまるで懺悔のようであったけれども、古代と雪の二人の存在が今回も場を救っていた。乗組員の人間性の描写を味わえる内容。
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第5章 第16話「未来への選択」
投稿日 : 2013/07/04(Thu) 13:26
投稿者 久保田r
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 ドメルとの戦いからかろうじて脱したヤマトは、補給のためにビーメラ4へと立ち寄る。ビーメラ4は、地球に近い環境を有する惑星であるため、新見薫や保安部の伊東真也をはじめとする「ヤマト計画」の実現性を懸念する者達が反乱を起こしてヤマトを制圧しようとする。調査のためシーガル機でビーメラ4へ降り立った古代たちは巨大な虫に襲われ、アナライザーの活躍により難を逃れる。そして、植物に覆われた異星の宇宙船を発見する。

 ビーメラ星の調査とヤマトの中で起きる反乱を同時進行で描いている回。古代が担当したビーメラ星の調査の方は、何が飛び出すか分からないドキドキ感があり、反乱の方は、どのような強攻が行われるのか分からないドキドキ感があり、この二つのドキドキ感を行ったり来たりするという誠に心臓によろしくない内容…という印象。

 今ひとつすっきりとオチていないような気がして思いの外観賞の後味が苦かった。一つの回の中に盛り込み過ぎなのかも知れないが、説明的な描写が所々抜けているため、今ひとつ気持ちが繋がらないまま事が進んでいて”何でそうなるん?”と感じることがしばしばあった。新見薫が島大介に渡したメモには何て書いてあったのかとか、雪が持っていたカプセルの中味を伊東は一体いつ見たのかとか、こういったことを説明する細かいシーンがあればもう少し滑らかな気持ちで見れたかも知れない。

 最も「?」なのは、古代に抱きついた雪。う〜〜〜ん…ピンチに颯爽と現れたヒーローってわけじゃないと思うけど…でもこれが女心ってことなんかなぁ…。顔を見てホっとしたってことだね。そして今回は、山本玲がすっごい格好いい女だった。戦う姿に痺れた。

 追記。
 関俊彦さんの声ってこういうキャラにホント合うよねぇ。最後のキレかけた表情の声もよかです。
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第5章 第15話「帰還限界点」
投稿日 : 2013/07/03(Wed) 13:38
投稿者 久保田r
参照先
 ガミラス親衛隊長官のギムレーは、反乱を起こした惑星を殲滅し、その惑星を鎮圧できなかった総督をも射殺した。そのやりようは冷酷かつ非情であった。一方ヤマトでは物資不足の問題が生じ、補給のためビーメラ星へと進路を向けていた。ドメルは威力偵察を送り執拗にヤマトを追い続ける。デスラーは視察のためバラン星へと赴くが、エンジントラブルにより乗った艦が爆発する。そしてヤマトは威力偵察を振り切るためにワープしたもののワープアウトした先でドメルの作戦により待ち構えていた大艦隊に囲まれてしまう。真田は「航空隊発進せよ」の号令をかけるが、それを第一艦橋に現れた沖田艦長が止め、波動防壁を展開して一点突破をするよう命令する。

 多角的に見どころとなる点が多く、「これ!」といったポイントを絞るのが難しい回。しかし、最大の見せ場は沖田艦長 vs ドメル。ヤマトとドメラーズがぶつかりながらすれ違うシーンは手に汗握る必見もの。圧倒的な物量を誇るドメル艦隊に対し、たった1隻で戦いを挑むヤマトの姿たるや勇ましい。ドメルに「ヤマト、侮り難し」と言わしめ、「狙うは旗艦ただ1隻」と強い覚悟で臨む沖田艦長の渋い漢二人の戦いを篤と見ることができる。(それにしても渋い漢というのは、緊迫したシーンでは何故ああも悪人顔になるのか…。いや、それが格好いいんですけれども)

 この沖田艦長 vs ドメルの戦いの前には、今後の伏線となるシーンが多数。ガミラスでは反乱分子が逃げ込んだ場所がドメル邸であったり、ヤマトでは新見薫と伊東真也が密談をしていたり、星名透が島に接近したり、岬百合亜が謎の発言を連発したり。岬百合亜は前話から様子がおかしいままで、今回は食堂で真田と波動砲について議論を交わすなど彼女らしくない行動が続いている。こんな調子でちゃんと任務をこなしているのか?と心配になるほど。百合亜との会話の後の真田の台詞がナイス。

 ヤマトはドメラーズを躱したものの進路上に現れた敵艦隊に再び包囲されて集中砲火を浴びる。もはやこれまでかと思われた矢先、ガミラス艦隊が突如ワープで戦線離脱。難を逃れたヤマトではあったが、このガミラス艦隊の謎の行動は、ドメルがヒス副総統より帰投命令を受けたため。デスラーの乗った艦が爆発するなどガミラスでは一体何が起きているのか?

 追記 1。
 『2199』では、戦闘シーンの絵がよく動く。艦自体がよく動いていたり、アングルがよく動いていたり。かつては艦隊戦といえば艦の動きはあまりなく絵のバリエーションが限られていたものだけど、『2199』では工夫が凝らされて視覚的に色んな角度から見せることでバリエーションが格段と増えている。ヤマトが回転しながら砲撃するシーンは見どころ。(そういえば『宇宙戦艦ヤマトIII』でも落下(と当時は表現していた)しながら砲撃するシーンがあった)

 追記 2。
 雪はよっぽど操縦が上手くなりたかったんだね。自覚はないまでも古代と一緒にいたいという乙女心かも知れないけど、意地になってる感じは雪らしいかな。そしてこの時に覚えた操縦の腕前が、『完結編』で気を失った古代を乗せたコスモゼロを操縦するシーンに繋がるんだね。良かったね、雪。覚えたことは必ず役に立つよ。

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第4章 第14話「魔女はささやく」
投稿日 : 2013/06/26(Wed) 13:50
投稿者 久保田r
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 100式空間偵察機で偵察に出ていた古代と雪は、任務終了後の通信でヤマトに異変が起きたことを知る。急いで戻った二人は、宇宙空間でくるくると回転するヤマトを目にする。艦内には人気がなく、ヤマトは自動操縦で航行を開始したため二人は航法システムのある場所へと急行する。しかし、古代と雪はそれぞれに幻影と対面する。

 古代と雪の仲が急接近する回であり、また第9話「時計仕掛けの虜囚」とも共通するSF文学特有の幻想的なムードに浸れる内容。同じSF文学的な内容と言えど「時計仕掛けの虜囚」と異なるのは、その中味の質。前者はロボット同士の切ない交流を描き、後者は人間の精神に潜り込んでコントロールしようとする得体の知れない不思議さを描いている。

 はっきり言ってしまおう、私はこの手の世界観が苦手だ。パラレルワールドものにも時についていけない自分には(設定によっては大丈夫な時もある)、今回のようなダーク色濃い内容はどうも受け入れるのが難しい。後味の苦さをいつまでもひきずってしまう己の情弱さを嘆きつつ、こればかりは個人的な嗜好の問題として諦めるしかない。

 しかし、苦いばかりの後味に一服の清涼感を与えているのが、古代と雪の二人。この二人が主役だったことは、救い。危機を共有するのは恋愛へと発展する大事なステップなので、今後二人がどういう時間を共有するのか展開が楽しみとなった。

 今回の内容は、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する惑星ファンタムのアンチテーゼのように感じる。どちらもその人にとって大切な思い出を幻として見せるという点では同じながら、表現の描写が反対へと向かっている。惑星ファンタムが陽であれば、今回の作戦を実行したミーゼラとミレーネルは陰であり、+とー、暖と寒というイメージ。そういえば宇宙空間に雪が降っていた。この雪はミーゼラの仕掛けたものだと思うが、イメージの視覚化としては効果的。これらを突き詰めて考えを進めてみると、『III』で惑星ファンタムを古代に紹介したデスラーの胸の内とやらが色んな意味で奥深いものに思え面白味が増す。

 今回の映像は、鑑賞する人の好みによってはツボに嵌るかも知れない。「ヤマト」でこういった世界観を味わうことになるとは思っていなかった自分には多少複雑な胸中ではあるけれども、しかしながら「ヤマト」の作品世界の視野が広がったという点では、なるほどと頷けるところ。最後に勝手なつぶやきを。yuki no hip no up wa irane.
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第4章 第13話「異次元の狼」
投稿日 : 2013/06/21(Fri) 15:01
投稿者 久保田r
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 突如至近距離でミサイルを被弾したヤマトは、見えない敵からの攻撃を躱すために小惑星帯の陰に身を潜めて敵の出方を窺っていた。ヤマトを襲った敵は次元潜航艦であり、艦長はドメルの配下となったヴォルフ・フラーケンであった。突然姿を現わす魚雷攻撃の最中、沖田艦長が倒れて緊急手術が行われる。ヤマトの指揮は副長の真田が執ることになり、索敵方法を巡って古代と新見の意見が衝突する。真田は新見の案を採用するも、敵艦にトレースされてしまいヤマトの位置を知られてしまう。古代は命令違反を承知で榎本らと共にシーガルで発艦する。

 一難去ってまた一難。古代と島がやっと仲直りしたと思ったら今度は見えない敵からの攻撃に翻弄され、沖田艦長まで倒れるという苦難続き。どーしてこーも一度に重なるんだ!と頭を抱えてしまいそうな事態にも、常に沈着冷静な真田の号令の下、第一艦橋クルーらが思ったほど動揺していないように見えるところが頼もしくもあり、ちょっと可愛気なくも感じたり。そんな中、臆することなくはっきりと「直感です」と答える古代は人間味を表していたし、沖田艦長の容態を気にしている表情や、無鉄砲なところなどは旧作の古代を彷彿とさせていて妙な表現ではあるが古代らしい古代で良かったと思う。

 バラン星の基地に向かって航行するガミラス艦と背景の美術が美しく、いつまでも眺めていたいほど。そしてゲールの前に降り立つドメルが格好よいのは勿論のこと、基地内のガミラス人らがみな個性的で渋い声が多い。つーか!何でこーもガミラスには無駄に格好よくて渋い声が多いんだーーー!声だけなら!私は大いにガミラスが魅力だぞw

 その渋い声を代表するお一人、中田譲治さんが声を担当しているフラーケンが、ワイルドかつちょい悪な雰囲気で登場。フラーケンと次元潜航艦は、『宇宙戦艦ヤマトIII』で登場したガルマン・ガミラスの艦だが、艦の設定はそのままにヤマトの迎撃方法を変えてのリメイク登場。『III』では新乗組員の土門竜が偶然窓の外に潜望鏡を発見するという設定であったが、『2199』ではその辺りを科学的かつ具体的な方法で発見して潜望鏡を破壊するという設定になっている。確かに偶然の発見よりかは根拠を持った行動で発見する方が格好よいのだけれども、緊迫したムードが漂う中、科学的な専門用語が次々と並べられて実はちょっと気持ちが引いてしまった。少々の専門用語ならば別段気にはならないのだけど、それが続くとなると日常会話で使わない言葉だけにそれがどんなものなのか理解できないままにドラマが進んで行ってしまう。作品を見た後に「あれはそういうことだったのか」と思えばいいのだろうけど、出来れば台詞を聞いた時点で理解して次に進みたい者としてはちょっと寂しいところ。しかし、こういった専門用語のやりとりが科学に興味を持つきっかけとなるシーンかも知れない。

 追記。
 ラストで真田と新見が会話していた場所は、メルダと古代らが会見した場所と同じなのだとしたら、花がその時と同じ花だったので出来れば変えて欲しかったかなと。その方が花の演出効果が活きたように思われます。
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第4章 第12話「その果てにあるもの」
投稿日 : 2013/06/12(Wed) 13:41
投稿者 久保田r
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 メルダが去ったヤマト艦内では、戦端を開いた真相についての影響が依然として残っていた。意見の食い違う古代と島はブリーフィング中に喧嘩をして罰として艦内清掃を命じられる。一方、勲章授賞式のために帰国したドメルは、式典の場でデスラー総統よりヤマト討伐の命令を受ける。その帰り道ドメルは墓地を訪れ、黒い服を着た女性に銀河方面軍の指揮を任されたことを告げる。就寝中の岬百合亜は、綺麗な女性の夢を見て飛び起きる。同じ頃、自動航法室でも綺麗な女性の姿が目撃されていた。6日間の懲罰を終えた山本玲は、島と会話をし「(ガミラスに)もう憎しみは感じない」と胸中を明かす。艦長室の清掃に訪れた古代は、沖田艦長より事実を聞く。そして頭を冷やした島は古代と仲直りをする。だが、そこへ突然ヤマトの左舷にミサイルが命中する。

 インターバルといった趣きの内容で、ヤマトでは古代と島のぎくしゃくとした関係の整理と謎の美女について描かれ、一方のガミラスではデスラーとデスラーを取り巻く人物たちの行動と思惑が描かれている。古代と島の喧嘩やいつまでも気まずいムードを引きずる描写などは、旧作とは違う『2199』ならではの設定。二人の性格設定が旧作とは若干の異なりがあるため、島が思っていたよりも感情を引きずるタイプで描かれており、それが新鮮でもありそのため古代が何故か少し大人びて見えている。この辺の描き方の違いがリメイクとはいえ『2199』のオリジナリティを感じさせるところ。

 ガミラスの描写については、旧作よりもぐんと緻密な国家として描かれてあるので、うっかりするとヤマトよりも魅力的かも知れない。キャラクターの背景に家族の姿が見えるほか、性格にも厚みがあり、様々なタイプが揃っているため興味深い人物が多い。もしかすると『2199』で最も設定の楽しみがあったのがガミラスではないかと思うほど。ガミラスのシーンに於いては哲学的且つ詩的な台詞が多く、知的好奇心をそそる描写が多い。

 今作の映像の印象を簡単に表すと「上から目線」。総統であるデスラーの上から目線な言動と鷹揚な態度や、キャラクターの配置が平坦ではなく身長差や立つ位置や座る位置などを利用した高低差のある描写が割とあり、これらの”上から目線”で捉えた構図が印象に残った。最も印象に残ったのは、格納庫のコスモゼロのパイロット席に座る古代と脇に腰掛ける雪の2ショットシーン。気遣わしげに見下ろす雪の視線は優しく、見上げる古代の視線には健気さがある。そして真上から二人を捉えたショットは、今後の二人の仲を表現しているような可愛いらしいシーンとなっている。

 古代と島が仲直りをしてホっとしたのも束の間、突然のミサイルがヤマトを襲う。この攻撃は一体!?

 追記。
 ところで、ヤマトってやっぱり日本の艦なんだなぁと感心した演出が一つ。古代と島が首から下げていた罰当番カードにハンコが押してあった。サインじゃなくてハンコ。確かにハンコの文化って西暦2199年にも生き残ってそうだよねぇ…。
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